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「美しき免疫の力」の話

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私たちの身体は常に細菌やウィルスに囲まれ、その脅威にさらされています。

それら細菌やウィルスとの戦いは人類進化の歴史と常に寄り添い、そして今も戦い続けています。

その戦いの主役は私たちの身体に備わっている免疫システムです。

免疫細胞達は身体への侵入者に対して、襲いかかり、同時に身体を修復し、戦いに散った病原体や細胞の残骸を片付けていいます。

しかしながら、9割が細菌でできているヒトの有害な細菌だけを攻撃して、他の有用な菌に対しては攻撃をしないのか、アレルギーやリウマチなど免疫が暴走して自分自身を攻撃してしまうのはなぜか、免疫システムに対する疑問は尽きません。

ダニエル・M・デイビス著「美しき免疫の力」は免疫学の権威たちの大発見を紹介しつつ、ヒト免疫システムの美しいくも繊細なネットワークについて解説します。

 

免疫システムは常に変動している

 

病気に対する抵抗力は、ストレスや加齢、一日の時間帯や精神状態などに影響されながら、絶えず強まったり、弱まったりしています。つまり免疫システムは流動的に変化しており、私たちの健康は絶妙なバランスの上で成り立っているといえます。例えば血液中の免疫細胞の数は夕方に最大となり、朝方に最小となります。夜になれば身体の活動状況やエネルギー使用量が日中とは異なる状況となり、免疫システムにも多くの変化があります。

また、睡眠の熟睡度も免疫システムに影響し、ひと晩あたり5時間未満の睡眠不足は風邪・肺炎のリスクを増加させます。

したがってこうした免疫の特徴を理解することで、自身の生活を見直し免疫システムをフルに活用して自身の健康に役立てることができます。

 

ワクチンの仕組みと免疫システム

 

ワクチンの基本原理は「ウィルスや細菌などの病原体に感染しても、過去に同じ病原体に遭遇したことがあれば、初回よりも遥かに効率よく対処できる」というものが前提となっています。

しかしながら、ワクチンは単独では機能せずアジュバンド(免疫賦活剤)といわれる水酸化ナトリウムなどの化学物質を加えることでワクチンとして効果が発揮されます。

この発見は偶然の賜物でしたが、これを「なぜか?」と考えたときに、ヒト免疫システムの仕組みの理解が進むことになります。

免疫細胞であるT細胞やB細胞も、骨髄にある造血幹細胞から作られます。T細胞もB細胞も、造血幹細胞から分化していくなかで細胞の外からかってくる多様なシグナル分子を選択的に受け取る受容体を獲得しますが、このときに受容体遺伝子はランダムに切断されて、その断面がランダムに張り合わされます。そうしてできた細胞ごとに独自の形状をした受容体は血液中に流れる前に、健康な細胞と結合できてしまう細胞のみ排除されます。

そうして健康な細胞を攻撃せず、いままで体内に存在したことのない分子のみを受容することができるようになります。

こうしたT細胞、B細胞は感染の記憶を使った「獲得免疫」と呼ばれています。

その他に、病原体や感染細胞だけにみられる分子パターンと結合されうように作られた「パターン認識受容体」が存在しており、これが「自然免疫」と呼ばれています。

このパターン認識受容体は「トル様受容体」と呼ばれ、この遺伝子は生態系の異なる昆虫やマウスとヒトに共通して見つかっており、長い歴史の中で病気と戦うために獲得し、子孫に遺産として残っていることがわかりました。

いまでは何種類ものパターン認識受容体が確認されており、それぞれが特定の種類の病原体だけを特異的に検出しており、その驚異に対抗するのに適した反応のスイッチを入れる働きしています。自然免疫システムは、単に病原体の存在を検出するのではなく、存在する病原体の種類まで認識し、その種類に応じて免疫反応を調整してるのです。

ほとんどの生物の98%は無脊椎動物であり、この自然免疫のみを武器にして、生き抜いていますが、ヒトはさらに自然免疫で対応しきれなかった場合のみにB細胞やT細胞が対応する2重の防御システムを備えています。

感染しても2-3日で良くなれば自然免疫の活動によるものであり、病原体に対する防御反応の約95%は自然免疫によるものになります。

 

免疫反応の開始と停止

 

外傷や切り傷に対して、免疫細胞が問題の発生した箇所に集合し、患部を腫れさせます、これが自然免疫反応です。免疫細胞は細胞表面にある受容体でウィルス、細菌、菌類、損傷細胞に由来する分子を検出し、警戒態勢に入ります。一方で樹状細胞という獲得免疫にスイッチをいれる細胞がリンパ節に到着して、先程遭遇した病原体由来の細胞分子をT細胞に提示し、体内に侵入した病原体の構造や性質に合わせて獲得免疫を発動させます。このとき自分が認識できる病原体を貪食したT細胞がキラーT細胞となって分裂を繰り返し(この増殖したT細胞がリンパ節の腫れている状態)、感染細胞を殺すためにリンパ節を飛び出し現場に急行します。キラーT細胞が出動する傍らでヘルパーT細胞と呼ばれる別のT細胞も動き出し、他の免疫細胞を刺激して活性化させます。ヘルパーT細胞は様々な種類が確認されていますが、一型ヘルパーT細胞は、細菌に対処するための貪食細胞であるマクロファージを動員し、二型ヘルパーT細胞は腸の細胞の粘液分泌と腸管の筋肉収縮による蠕動運動を促し、寄生虫を生きたまま体外へと押し流します。

樹状細胞は、病原体に対する初期の反応でる「自然免疫反応」からT細胞やB細胞が関与する精密で長期持続型の「獲得免疫反応」へと移行するための橋渡しをしています。さらに、この樹状細胞はT細胞に提示したタンパク質が病原体由来ではなく単に今まで体内に存在したことのないタンパク質だった場合はスイッチを切り、T細胞は「寛容T細胞」となり、免疫反応を起こすことができなくなります。そのようにスイッチを切り替えておかなければ、T細胞は病原体由来ではないタンパク質に反応して、健康な細胞・組織を攻撃してしまうかもしれません。このような複雑で美しい仕組みにより身体の免疫反応は調整されています。

 

まとめ

 

私達の身体はウィルスや細菌と戦いながら進化することにより複雑で美しい免疫システムを作り上げました。

しかしながら、繊細なバランスの上になりたつ免疫システムは私達の生活により影響を受け、時には身体を傷つける、健康を害することもあります。

免疫システムを理解して、コントロールすることは自分の身体を守るシステムを強化し、健康な身体を保つことに繋がります。

創傷やウィルス感染、アレルギーなど私達の身近にある病気や疾患にかかったときの身体の反応に耳をすませて、自身の身体に何が起こっているのか、自分の免疫反応について思いを巡らしてみることで自身の身体を作る細胞や細菌ひとつひとつを大切にするようになれるのではないでしょうか。

 

次回は免疫反応を利用したがん治療や免疫反応を狂わす生活、強化方法などについてまとめていきたいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

参考図書

ダニエル・M・デイヴィス 著「美しき免疫の力 人体の動的ネットワークを解き明かす」

 

 

 

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Comments from NEMber
7zoesan
2019-05-17 12:45:28ID:117712

>>きなこ::さん
傷つけちゃだめよ笑
多くの犠牲を払った遠い祖先がもたらした進化と遺伝の素晴らしさ、感謝です。

7zoesan
2019-05-17 12:43:08ID:117711

>>目指せ北海道::さん
身体は宇宙、まだまだ免疫についてもすべてはわかっていないですし、これからがまた楽しみです。

7zoesan
2019-05-17 12:41:16ID:117710

>>YUTO::さん
タグ入れときますね!

きなこ
2019-05-17 09:03:57ID:117677

生命の神秘というか、どんな作り物よりも命ってすごいな。
ほんとよく7できてるな。改めて自分の体の不思議さに感動させられました💡

目指せ北海道
2019-05-17 03:27:58ID:117643

免疫について、あらためてすごいなーと感心しました。かつてルドワランという人が、ウズラの脳をニワトリに移植し、最初はウズラの鳴き方をするニワトリになる(脳が体を支配)が、その脳はニワトリの免疫によって拒否され(体の免疫が脳を拒絶)、ニワトリは死んでしまうという発見をしました。免疫学者の多田富雄先生は、脳と免疫はお互いに独自の進化を遂げた複雑系であり、それが面白いとよく話しておられました。仲が悪いようでも、ふかーいところでこのふたつはつながっているらしいです。

YUTO
2019-05-16 23:10:40ID:117581

高校生物に出てきそうな話です。
免疫に感謝です!!
免疫があるおかげで生きていられますから。
#ネムログサイエンス同好会に生命科学分野が少ない

NEMber who posted this article

北海道で理学療法士兼スポーツトレーナーとして活動しています。
これまでの臨床経験から得た気づきや学びに関すること、
日々の読書の備忘録など、徒然なるままに健康と幸福と自身の人生観についてアウトプットしていきたいと思います。
NEMはあまり関係ないことが多く、申し訳ありません!!

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