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「美しき免疫の力」の話②

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2019-06-04 21:21:42
「美しき免疫の力」の話②

前回に引き続きダニエル・M・デイヴィスによる「美しき免疫の力」の話です。前回は免疫の複雑なシステムについてまとめました👇

今回は免疫システムとがん治療、免疫システムの暴走による自己免疫疾患にについてまとめて行きたいと思います。

 

がんと免疫の作用

 

がんはすべてではありませんがウイルスの感染によるものがあります。ウイルス感染による日本人のがんの原因の約20%を占めると推計されます。感染の内容として、日本人では、B型やC型の肝炎ウイルスによる肝がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸がん、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)による胃がんなどがその大半を占めます(表1)。他には、エプスタインバーウイルス(EBV)による悪性リンパ腫や鼻咽頭がん、ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(HTLV-1)による成人T細胞白血病/リンパ腫などがあります。
感染による発がんのメカニズムは、ヒトパピローマウイルスのように、感染体が作り出すがん原性タンパク質による直接的な作用や、慢性の炎症に伴う細胞の壊死(えし)と再生による間接的な作用などが報告されています

 

表1がんの発生に関係するウイルス・細菌(国立がん研究センターHPより引用)

表2 がんの発生に関係するウイルス・細菌の表

 

感染が原因になりますので、その予防、治療には免疫の力が必要になります。

ウイルス研究者のアイザックスとリンデマンにより発見された、ウイルス活性化の阻害因子であるインターフェロンのような可溶性タンパク質分子は細胞同士や組織間のコミュニケーション手段となって、免疫システムを制御したり調節を行っています。現在ではこのような可溶性タンパク質分子は100種類以上見つかっており、それらはまとめて「サイトカイン」と呼ばれています。

サイトカインは免疫システムにとってはホルモンのような存在であり、情報を伝達するために細胞から分泌され、別の細胞によってキャッチされ、キャッチした細胞の機能や行動に影響を与えます。

サイトカインによるがん治療、新薬の開発はインターフェロンの発見と同時に進みましたが、インターフェロンはがん細胞を直接止めるわけではなく、間接的に免疫を活性化させてがんとの戦いを支援しているにすぎないため、がんに対する作用は限定的ですが、黒色腫や一部の白血病の治療には重用されています。

胃がんや子宮頸がんはピロリ菌除去、ワクチンの利用によってそのがんの予防が可能になりました。日本人のワクチン接種率、ピロリ菌除去率は副作用が強調され報道された影響もあって依然として低く推移していますが、免疫とウイルスの関係を正しく理解して、選択することが必要だと思います。

さらに、最近でウイルスが原因ではない種類のがんにも免疫システムが反応することもわかってきました。免疫細胞はがん細胞へ浸潤して、腫瘍細胞を死滅させうることも確認されました。免疫システムは侵入した病原体を探索するだけではなく、体内の細胞が分裂するたびに発生しうる有害な遺伝子変異のスクリーニングも行っていたのです。

その作用によって免疫を強化する治療法として免疫療法がありますが、以前までは抗体をつかって免疫を強化する方法、つまり免疫のスイッチを強制的にオンにする方法が主流でしたが、テキサス州のがんセンターのジェームス・アリソンは発想を逆転させ、免疫反応が終了するプロセスに抗体を使用して、スイッチをオフにする作用を阻害する方法を編み出しました。これが「免疫チェックポイント療法」であり、免疫細胞にブレーキをかけているCTLA-1、PD−1受容体タンパク質の発見により、それらの活性を阻害する「チェックポイント阻害薬」という新薬が開発され、がん治療に革命が起きました。ちなみにこのPD-1を発見したのが昨年にノーベル賞を受賞した日本の科学者、本庄 佑先生です。

免疫チェックポイント療法も万能ではなく、免疫システムの監視の目を逃れやすいがんに対しては有効性を示しませんが、今後は他の治療との組み合わせることによる効果などの検証がすすめられており、今後の研究の成果が待たれます。

 

免疫の暴走による自己免疫疾患

 

自己免疫疾患とは、異物を認識し排除するための役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまうことで症状を起こす、免疫寛容の破綻による疾患の総称です。

自己免疫疾患は、全身にわたり影響が及ぶ全身性自己免疫疾患と、特定の臓器だけが影響を受ける臓器特異的疾患の2種類に分けることができます。自己免疫疾患の代表である関節リウマチは関節に慢性的な炎症が生じ、関節の痛みやこわばりを引き起こし、場合によっては機能障害に至るケースもあります。約100人に1人が罹患し、発症の詳細な機序はわかっていませんがおそらくは免疫細胞が関節内に蓄積されることで症状が発生し、やがては軟骨と骨が破壊されます。関節リウマチはわずからながらに遺伝性がみられ、46の遺伝子が関連付けられていますが、一卵性双生児の研究なのどにより、発症には非遺伝的要因(エピジェネティックス)が多く関与しています。

フェルドマンらは関節リウマチ患者らの関節から細胞と体液を採取して関節リウマチ患者では腫瘍壊死性因子(TNF)アルファと呼ばれる種類のサイトカインが豊富に存在していることを発見しました。そしてこのTNFを阻害する抗体はヴィルチェックにより作成され、この抗体によってTNFが阻害されると細胞による他のサイトカインの産生が止まることがわかりました。これらの発見によりTNFはカスケード反応のトップかネットワークのハブに相当することがわかり、他の炎症性サイトカインの産生を引き起こしてていることがわかりました。

臨床試験ではこの抗体によって関節リウマチ患者の症状は劇的に回復しましたが、抗体は治療薬ではないため、効果は一過性でありほとんどの患者で再発がみられました。しかしながら他薬との併用では従来の治療法より効果があることが示されており、関節リウマチ患者の生活の質は大幅に向上しました。また、TNF阻害薬はクローン病や大腸炎でみられる消化器系の炎症、乾癬でみられる皮膚の炎症や強直性脊椎炎でみられる脊椎関節の炎症などにも効果を示すことも明らかになっています。

しかしながら、免疫を阻害することによる感染症への罹患リスクの増大や潜在性結核の保持者は結核発症のリスクが高まることもわかっており、そしてこららの治療薬は対症療法のため、完治は現在はところ難しいとされています。

現在は免疫細胞(B細胞)自体のアポトーシス(細胞死)を引き起こす薬も開発されており、この薬はがん細胞を死滅させる治療薬として認可されたものを応用したものになります。

複雑な免疫システムのすべてを理解してコントロールすることはがんやその他自己免疫疾患の治療に大きな成果を得る可能性を秘めていますが、不安定なバランスの上に成り立つ複雑な免疫システムへの介入はパンドラの箱を開けることでもあり、安全性の確保には詳細な免疫システムの詳細な地図が必要になります。

 

 

まとめ

 

ヒトの免疫は病気から身体を守り、また、がん細胞などを攻撃して細胞の増殖を食い止める働きがある一方で、免疫細胞の暴走によって身体の内部に炎症を起こさせる働きもあります。

自己免疫疾患は完治が難しく、対症療法が基本となりますので、予防が大切です。

ウィルス感染や自己免疫疾患、がんの予防には自分の免疫システムをコントロールし、そして強化することが必要になります。次回は自己の免疫システムを強化し、コントロールする方法についてまとめていきたいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

参考図書

ダニエル・M・デイヴィス 著「美しき免疫の力 人体の動的ネットワークを解き明かす」

 

 

 

Comment
7zoesan
7zoesan
2019-06-05 22:13:36ID:123251

>>ぺぺ::さん
いつになるかわかりませんがもう少々お待ち下さい。

7zoesan
7zoesan
2019-06-05 22:13:15ID:123250

>>YUTO::さん
身体変化記事読みましたよ、免疫力高まっているみたいですね!

ぺぺ
ぺぺ
2019-06-05 17:49:46ID:123177

免疫力。次回が楽しみです。

YUTO
YUTO
2019-06-05 11:10:24ID:123115

免疫を高めるためにも、FiFiCで体をうごかさなくちゃ!!

ぜむ🐳ぜむ
ぜむ🐳ぜむ
2019-06-05 01:22:20ID:123062

(>>7zoesan::さん)
・w・激寒!激熱の交互で代謝ぁあああああああっぷ!

7zoesan
7zoesan
2019-06-04 22:48:54ID:122987

>>ゼム🦈ゼム::さん
ぎゃくに極寒にして褐色細胞を増やすだ!!激寒ぅぅぅ!

ぜむ🐳ぜむ
ぜむ🐳ぜむ
2019-06-04 21:29:52ID:122966

・w・これからの季節、暑くてエアコンかけすぎて身体冷やし過ぎないようにしなきゃ・・免☆疫

この記事を書いた人
北海道で理学療法士兼スポーツトレーナーとして活動しています。 これまでの臨床経験から得た気づきや学びに関すること、 日々の読書の備忘録など、徒然なるままに健康と幸福と自身の人生観についてアウトプットしていきたいと思います。 NEMはあまり関係ないことが多く、申し訳ありません!! ツイッターもはじめましたので、よかったらフォローお願いいたします。