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光と色の愉快な関係② 三原色が2つ!?  迷宮編

nem6.35xem (3) 230 9 1

 こんにちは、色深寅です。

 前回の記事「光と色の愉快な関係① 三原色が2つ!? 出没編」で、光の三原色RGBと色材の三原色CMYについてその相違点と共通点を考察しました。RGBは自ら発光する物体を人間が見るときに感じる色知覚を説明する原理、CMYは自ら発光せずに光を反射(あるいは透過)する物体を人間が見るときに感じる色知覚を説明する原理です。そして、どちらも人間の色知覚という現象を体系的に再現性をもって説明できる点で共通しています。

 

 ここまでは分かりました。

 しかし、理解と同時にこんな疑問も浮かんでこないでしょうか?

 「光をそのまま見た場合と反射(透過)した光を見た場合に、同じ人間が知覚する色がなぜそれぞれ別な原色(原理)によって作り出される(説明される)のか?」

 より具体的な例で言い換えると、

 「PCディスプレイ上で見る蜜柑と写真で見る蜜柑の色はなにが違うのか?」

 実はこれが出没編の最後で謎と呼んだ現象です。今回はこの謎に踏み込み、解き明かしたいと思います。個人的にはこの謎(疑問)に直接言及した解説を見たことがない難問で、出口の見えない迷宮に入る気分です。

 しかし進みましょう。

 

※本記事も前回同様に3色型色覚の明所視を前提にしています。また錯覚は考慮しておらず、説明の簡易化のため正確性を多少犠牲にしています。具体的な数値も出てきますが、複数の定義がある場合もあり「だいたいそのくらいだね」とご寛恕ください。

 

 この「RGBCMYの分離」と名付けていいような現象が生じるのは、人間の眼にある視細胞とその生理反応、そして光の直視と反射(透過)が関係しています。

 まずは視細胞と生理反応です。人間の眼の網膜(そうRetina)上には桿体(かんたい)と錐体(すいたい)という光を感じる2種類の視細胞があります。このうち桿体は暗闇で弱い光を感じる機能に特化していて、色を識別することが出来ません(高感度なモノクロフィルムみたいな)。

 色知覚にとって重要な役割を担っているのはもう一方の錐体です。錐体はさらに細かく3種類に分類されて、それぞれL錐体・M錐体・S錐体と呼ばれます。違いは反応する光の波長で、L錐体=564nmをピークに400~780nm、M錐体=534nmをピークに400~650nm、S錐体=420nmをピークに380~530nmの範囲でそれぞれ反応します。L・M・Sは各錐体が主に反応する波長域(Long・Medium・Short)の頭文字から採られています。3つを足し合わせた全範囲380~780nmがいわゆる可視光領域ですね。また各錐体はL錐体:M錐体:S錐体=40:20:1の比率で網膜上に存在すると言われています。

 光に対する各視細胞の反応をグラフ化したものが下図です。

 引用元:ja.wikipedia.org「視覚」

   引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/視覚

 赤に着色されている線が、それぞれL錐体・M錐体・S錐体で、黒の点線は桿体を表しています。に着色されているのは、最もよく反応する部分(=各曲線の頂点)がに感じられる波長だからです。つまり、560nm辺りは、530nm辺りは、420nm辺りはとして知覚されます。

 

 視細胞の生理反応を知ったことで、次のよく知られた性質を説明することができます。それはRGBCMYの相補性と呼ばれる、「RGBの混色でCMYを、逆にCMYの混色でRGBを作り出すことができる」という性質です。

 具体的には、すべて1:1の混色で

 加法混色RGBにおいて、RGYGBCRBM

 減法混色CMYにおいて、CMBMYRCYGが成り立つ(すなわち人間の色知覚を生じさせることができる)ことを言います。

 視細胞の生理反応から相補性が成立する過程を詳しく見てみましょう。ここに光の直視と反射が関係しています。

 RGB原理に従う加法混色を言い換えれば、光源から発せられた光そのものの混ぜ合わせを見る(眼で感じる)ことです。

・光源から発せられたRGを見ると、その長・中波長成分によってL錐体+M錐体が反応し、Yとして知覚されます。

・光源から発せられたGBを見ると、その中・短波長成分によってM錐体+S錐体が反応し、Cとして知覚されます。

・光源から発せられたRBを見ると、その長・短波長成分によってL錐体+S錐体が反応し、Mとして知覚されます。

 また、CMY原理に従う減法混色を言い換えれば、光源から発せられた光が物体の表面で一部反射・透過(同時に一部吸収)され、その反射・透過された光を見る(眼で感じる)ことです。

・光源からRGBが発せられ、CMで着色された物体に当たると、CRMGが吸収されBだけが反射(透過)されるので、その短波長成分によってS錐体が反応しBとして知覚されます。

・光源からRGBが発せられ、MYで着色された物体に当たると、MGYBが吸収されRだけが反射(透過)されるので、その長波長成分によってL錐体が反応しRとして知覚されます。

・光源からRGBが発せられ、CYで着色された物体に当たると、CRYBが吸収されGだけが反射(透過)されるので、その中波長成分によってM錐体が反応しGとして知覚されます。

 少し複雑(特に減法混色)ですが、どちらも人間の眼に届くRGBの量とそれに対するL・M・S各錐体の反応を調整し色知覚を生じさせていると言えます。

 

 蛇足ながら直視と反射に関して1つ解説を挿入しておきます。

 RGBCMYの解説文でよく「RGBが重なるように白い壁に投影している図」を見かけます。この図は事実を表していますがその使用に際して前提の説明が不足している場合も多く、混乱を引き起こしかねない厄介な代物です。

物理的な再現性という点で「RGBが重なるように白い壁に投影し、その反射光を見た場合、加法混色に従った色知覚が生じる。」これは正しい記述です。しかし、これまで拙記事をお読みいただいた方の中には「反射は減法混色に従うのでは?」という最もな疑問をお持ちになる方もいらっしゃるでしょう。

 この理解には「白い壁とはどういう状態か」という前提条件を把握しておく必要があります。結論を言ってしまえば、「白い壁=すべての光を反射している(光が吸収されない)状態の壁=その壁を見ることは光源から発せられた光を直視しているのと同じ」という状態が作られていることになります。よってその色知覚は加法混色に従ったものになるのです。現実に理想的な状態が作れることはないでしょうが、実用上このように理解して問題ないと思います。

 

 長くなりましたが、本記事の目的である謎の解明に必要な知識が整いました。

 PCディスプレイに表示された蜜柑の画像と、それを印刷した蜜柑の写真が見せる色は何が違うのか?

 まずPCディスプレイに表示された蜜柑の画像を考察します。この画像を見たとき、おそらく橙色(オレンジ色)を感じるでしょう(そもそも橙・オレンジが蜜柑と同じ柑橘類の植物名な訳ですが)。この色はRGB原理による加法混色に従って表示されています。例えば、AdobeRGB値(8bit)=(233,163,38)で定義されているとしましょう。

 ここでBを1とすると、RGB=6.132:4.289:1となって、橙色(オレンジ色)=6.132R+4.289GBと表せます。換言すれば、このディスプレイ上の橙色(オレンジ色)はL錐体:M錐体:S錐体=6.132:4.289:1の反応比を示すように点灯していると言えるでしょう。

 次に同じ画像を印刷した蜜柑の写真です。この写真を見たときも橙色(オレンジ色)を感じるでしょう。この色はCMY原理による減法混色に従って表現されています。例えば、CMY(Japan標準紙)=(0,0.457,0.91)で定義されているとしましょう。

 橙色(オレンジ色)=0.457M+0.91Yということですが、RGBCMYの相補性によってMRBYRGが成り立つので、

 橙色(オレンジ色)=0.457(RB)+0.91(RG)=1.367R+0.91G+0.457Bと変換でき、Bを1とすると2.991R+1.991GB、さらに2倍すると5.982R+3.982G+2Bとなります。換言すれば、この写真の橙色(オレンジ色)はL錐体:M錐体:S錐体=5.982:3.982:2の反応比を示すように印刷されていると言えるでしょう。

 まとめると、題材とした橙色(オレンジ色)は、

 ディスプレイ表示ではL錐体:M錐体:S錐体=6.132:4.289:1の反応比を示すように、

 写真印刷ではL錐体:M錐体:S錐体=5.982:3.982:2の反応比を示すように調整されているということです。

 各錐体の存在比がL錐体:M錐体:S錐体=40:20:1であることを考慮すると、B成分の違いには若干鈍感だと言えるので、この2つはほぼ同じ色に見える(知覚される)と言って差し支えないでしょう。

※ここで利用したサンプル値はその定義値は正確なものですが、説明の便宜上許容されると思われる誤差範囲となるものを恣意的に選択しました。実際にはバカ高い測定機で両者を測定し比較評価しなければなりません。

 

 つまり、RGB原理とCMY原理は、人間の眼にある視細胞(錐体)を反応させ神経信号を生じさせる「目的と結果は(ほぼ)同じなのにその方法が違っている」というわけです。

RGB原理は光源から出ている光を直接(あるいは全反射して)人間の眼に送りRGBに対する視細胞の反応を生起させる方法。

CMY原理は光源から出ている光を表面で一部吸収し、一部反射(透過)して人間の眼に送りRGBに対する視細胞の反応を生起させる方法。

 太字部分が共通の目的・結果であり、傍線部分が方法の違い(=ディスプレイ上に表示された蜜柑と印刷された蜜柑の表現方法の違い)です。

 

 もう少し言葉を変えて説明すれば、光源に含まれるRGB成分を反射(透過)によって効率よく人間に知覚させるためには、「CRを吸収・GBを反射する」「MGを吸収・RBを反射する」「YBを吸収・RGを反射する」性質を利用して、CMYの混合比率を変化させることで反射されるRGBの比率をも変化させ、人間の眼に届く光の波長(RGB成分)を調整すればよいということになるのです。

 ここに至ってわかるのは、結局、人間の眼が反応しているのはいわゆる光の三原色RGBに対してだけということです。しかし、光を発しない物体を人間が知覚するためには物体表面での光の反射(透過)がなければならず、その反射(透過)によって人間の眼で起こるRGBに対する反応をうまく調整できるのが色材の三原色CMYであるというわけですね。

 わかってしまえば当たり前かもしれませんが、無意識の反応の中でこれだけのことが起こっているその凄さを共有したくて説明に多言を弄してしまいました。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 次回は下のおさらい問題について解説を試みたいと思います。出没編と迷宮編をお読みいただいた皆さんなら解けるはずです。挑戦してみてください。

 問題)赤色緑色青色の絵具を混ぜ合わせると(理論的には)何色に見えるでしょうか?

 

 迷宮編はここまでです。また!

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Comments from NEMber
色深寅
2019-09-22 21:02:27ID:149228

>>やってみよう::さん
正解おめでとうございます!(そして重ね重ね挑戦ありがとうございます。)
解説書きました(脱出編)のでご覧いただければ幸いです。

色深寅
2019-09-17 00:44:46ID:147890

>>やってみよう::さん
早速の挑戦ありがとうございます!
1週間くらいで解答あげようと思いますのでお楽しみに!

やってみよう
2019-09-17 00:09:33ID:147867

おもしろいですね!ちゃんと理解できてない可能性大ですが、問題に挑戦してみます。

赤の絵具:赤く見えるということは、緑と青の光が吸収された、つまり、M+Y という状態
緑の絵具:C+Y
青の絵具:C+M

これら三色を全部混ぜると (M+Y)+(C+Y)+(C+M) = 2(C+M+Y) という状態。(比率的に C+M+Y として良いんですかね)
ここにR+G+B の光が当たると、R が Cに、G が M に、B が Y に吸収されて、結局全て吸収されて、黒になる?

色深寅
2019-09-17 00:02:00ID:147865

>>オーウェン::さん
誰得情報にお付き合いいただいて感謝していますw

ディスプレイの製造元や部屋の蛍光灯が違うだけで見える色は変わりますね。なので規格が世界規模で決まっています。巨大な利権と言えなくもないのが悲しいところですが。
意識する必要のないことだなと思いながらどっぷり沼にハマってしまいましたw

オーウェン
2019-09-16 22:09:10ID:147831

>>色深寅::さん
ソフトによっても特徴やら微妙な違いがあったりするもんなんですね。ディスプレイが違うことで更に違ったりとか。
分かりませんが😅

色職人なんですね(笑)

色深寅
2019-09-16 20:19:17ID:147813

>>オーウェン::さん
コメントありがとうございます!

仰るとおりアイキャッチ画像はCMYの混色をディスプレイ上で再現するためにわざと作りました。RGBもですが、色がそれっぽく見えるようにいじっています。
ただ、画像ソフトでCMYを用意して重ねたら白くなるかというと、原理的(ディスプレイ構造上)には白ですが、ソフトがどのようにシュミレートするかに依存するので操作によると思います。
操作にも重ね合わせ方に乗算・減算など複数ありマニュアルを読んでも真意が伝わりづらいので、トライアンドエラーで欲しい結果(色)となるように持っていくしかないかなと半ば諦めています。

M+Yについては加法混色で再現した場合、M+Y=2R+G+B=R+白(R+G+B)なので薄い赤が素直な表現かもしれないですね。

ややこしい説明でさらに混乱させてしまったらすいません。

余談ですがAdobeFrescoというアプリがもうじきリリースされるようで、絵具の減法混色をリアルタイムに完璧にシュミレートするらしいので触ってみたいなと思っています。

オーウェン
2019-09-16 18:08:24ID:147784

なるほど。(分かったような分からないような)

ディスプレイに映された色の三原色の中心が黒になっているのは矛盾があるという事ですか。
足し会わせたら白?になるんだが、色の三原色を説明するためにわざと黒にしているという。

なんなら色の三原色のMとYを足し会わせた所がR?になっているが、本来ディスプレイ上、光の足し合わせという意味では違う色に見えるはずなんでしょうかね。

色深寅
2019-09-15 22:33:36ID:147566

>>YUTO::さん
視覚マジックみたいにできることあるかも知れませんね!

YUTO.nem
2019-09-15 22:15:43ID:147561

この原理を使って、何か演出ができそうです

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映画から道に迷って色彩科学に興味あり。独学なので進捗遅めです。
そのほかSF・ファッション・ゲーム・暗号通貨がホットな関心分野です。
マイペースですがよろしくお願いします。
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