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読書の秋だよ! 『火星年代記』を読もうミ☆

nem20.50xem (4) 104 6 2

宇宙人が出てくるSFは面白いよね!

 

 

ウェルズの『宇宙戦争』では、火星人が地球に攻めてきた。

ホーガンの『星を継ぐもの』では、5万年前の人間の死体が月で発見される。

クラークの『幼年期の終わり』では、圧倒的に高度な文明を持った宇宙人に地球が支配されるも、わりあい平和に統治される。

『宇宙戦争』の火星人

『宇宙戦争』の火星人

 

 

しかしアタイのイチオシは、なんといってもレイ・ブラッドベリの『火星年代記』であります!

 

 

 

『火星年代記』の火星人は、褐色の肌で、金貨のような目をした、テレパシーを使う小柄な民族。

 

 

死んだ海のほとりの水晶の家に住むイラは、ある晩ふしぎな夢を見るの。

空から降りてきた見慣れない船から、背の高い、青い目をした男が現れて、イラに話しかけ、冗談を言い合って笑って、歌をうたって、「君をぼくの星につれて帰りたい」と言ってキスするのさ。

楽しそうな寝言を言っているイラを見てやきもちを焼いた夫のイルは、イラが夢で見た着陸予定日に、銃を持ってどこかへ出かけていく。

やがてどこかで二発の銃声が聴こえ、しばらくして帰ってきたイルは「狩りをしてきたんだ」と説明するんだけど、イラは、夢で教えてもらった素敵な歌が思い出せないと言って泣くの。

 

そんな感じの、なんだかとってもいじらしい火星人。

 

 

第2回目の探検隊が火星に到着し、街を訪れて「僕らは地球から来たのですが」と言って歩いていると、なんだか偉そうな人を紹介されて、書類を書かされて、とある場所に案内されるの。

行った先には「私も地球から来ました」「私は木星から来ました」なんて言い張る人たちばかり。nemlogみたいな場所だけど、つまり精神病院に入れられちゃったってわけ。

 

まあまあみんな悲惨な運命をたどるんだけど、決して派手なドンパチは起こらない。静かで落ち着いたSFなんだよねぇ。

 

 

もともと『火星年代記』は1本の長編として書かれたものではなくて、詩のような短編のような小さな話をひとつにまとめあげられたものなんだけど、だからこそ、瞬間瞬間できらめくような想像力の遊びがある。

 

  • ミサイルも核も持たない火星人が、テレパシーを武器に侵略者と戦うことはできるのか?
  • アメリカ人は、繁栄のために他の文明を滅ぼすことしかできないのか?
  • 人間以外の種族にとって、神は存在するのか?
  • 世界に残されたたった一組の男女になったらどうする?
  • 火星人たちは、山や川にどうやって名前をつけただろう。
  • 前世紀的なグロテスクと悪趣味でゴテゴテに飾った機械じかけの屋敷を作ろう!
  • 人間が滅びても、ロボットたちは決まった日常を繰り返すのだろうか。
  • かばん屋が大儲けする方法は?
  • 地球を捨てて、まっさきに火星に移住するのはどんな人たちだろう・・・

 

収録作品は1940年ころから発表され、1950年に単行本としてまとめられたものらしい。
ちょうど第二次世界大戦を見つめながら書かれた物語っちゅうことね。

ブラッドベリは、道を踏み外してどんどんおかしな方向へ進もうとしている人類に対するあきらめを抱きながら、それでもある種の人間に希望を託そうとしていたっぽいわ。

 

火星人の残した文明に心打たれ、地球人がやってきてそれを蹂躙する未来をなんとか阻止しようとした宇宙飛行士スペンダー。

言葉も通じない、心があるのかもわからない火星の青い火の玉に布教しようとしたペレグリン神父。

思想統制で失われたポーの作品を火星に蘇らせようとしたスタンダール氏。(これは『華氏451度』をふまえてるね)

 

 

たぶんコイツラ、地球にいたら自覚しないくらいの窮屈さというか生きづらさをどこかに抱えながらだましだましつつがなく一生を終えるタイプに見える。

ブラッドベリは、彼らが本当の自分らしさに気付いて、人間らしく生きることが出来るまっさらな大地として、火星という舞台を設定したんだ。

 

 

 

執筆当時にブラッドベリが直接心配していたのは、テレビによって価値観が一色に塗り揃えられ、文化や知性が失われてしまうことだったらしい。

火星年代記が発表されてからこっち70年間、マジでその通りになったと思う。何もかも消費と金儲けの道具に作り変えられちまったよ。

 

前に進むこと。科学的に考えること。森羅万象をきちんと管理して、徹底的に危険を排除すること。人生の目的について考えること。

そういうのがいつでも正しいかのような雰囲気でテレビでしきりに流されるから、そこから外れていくことがあたかも悪い事のように思い込まれ、人間が人間らしく生きることのできるスペースはどんどん狭くなってしまったんだ。

 

かれらは、われわれが百年も前にストップすべきだった所で、ちゃんとストップしました。

かれらは、芸術と生活をまぜあわせるすべを心得ていました。アメリカでは、芸術と生活は、いつも別物でしょう。芸術は、二階のいかれた息子の部屋にあるものなんです。

地球人ならば、こんな考え方をするでしょう。"この絵に色彩は実は存在しない。科学者の証明によれば、色彩とは、ある種の物質における、光を反射するための細胞の配置なのだ。したがって色彩とは、目に見える物質の具体的な部分ではない"  ずっと利巧な火星人はこう考えるでしょう。"これはいい絵だ。これはインスピレーションを受けた人間の手と頭からでき上がったものだ。これの思想と色彩は、生活から出て来た。これはいいものだ"

 

ブラッドベリが鳴らした警鐘は、マスメディアが覇権を失いつつある現代においては、むしろ共感をもって受け入れられるのかもしれないけどね。

 

 

分かち合うこと。冒険をすること。空想と遊ぶこと。夕方から広場に集まってのんびり音楽を聴くこと。生に疑問を持たずにただ生きること。

もしそんな価値観に共感できるなら、キミにも火星人の素質があるかもね。

 

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Comments from NEMber
かせい
2019-11-12 10:38:31ID:158917

ツイベガ様の体調が心配だわ。

かせい
2019-11-10 19:39:05ID:158594

そーいえばブロックされてるんだった

かせい
2019-11-09 10:46:21ID:158352

>>7zoesan::さん
この本はサイエンス部分の考察が割とテキトー(ロケット発射の熱で、冬が夏になるとか)な一方で、矛盾を恐れずにワクワクする方に振ってるところがあるんで、SFに馴染みがない人でも読みやすいと思うヨ!

かせい
2019-11-09 10:39:54ID:158350

>>YUTO::さん
そのへんの問題も大きい気がするね。何とかしてください。
私塾・寺子屋の復権と、地方での就職orリモートワークの活性化に期待したい。

7zoesan
2019-11-09 07:10:03ID:158326

"分かち合うこと。冒険をすること。空想と遊ぶこと。夕方から広場に集まってのんびり音楽を聴くこと。生に疑問を持たずにただ生きること"
最後のまとめいいなぁあまりSF小説は読まないのですが想像力を掻き立てられますね、時代背景と作者の意図を汲んだ深い考察で読みたくなりました。
イベントへのご参加ありがとうございました。

YUTO
2019-11-09 00:27:30ID:158309

価値観が一面的になったのはテレビだけでなく、学校教育や入試、就職試験にもあるような感じが・・・
そこから一歩離れて、自分らしく生きるのが今後は大切になりそうですね!!

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