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「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」な話

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2020-01-22 22:35:36
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」な話

昨年の本屋大賞でノンフィクション本大賞を受賞した、ブレイディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読みました。

先日、娘の付添でプールに行って、待っている時間の間に本屋で立ち読みしていたら、面白すぎて止まらなくなり、そのままレジに直行していました。

本書の内容は日本人である著者とスコットランド人の配偶者の間に生まれた息子の英国での中学校生活を綴ったエッセイで、本書の言葉を借りると、まさに「中学生の日常を書き綴ることがこんなに面白くなるとは考えたこともなかった」です。

 

保守的な中流階級の名門カトリックの小学校を出て、その卒業生のほとんどが同じ名門のカトリックの中学へ進む中、地元の「元底辺中学校」に入学した息子の日常はいじめもレイシズム(人種主義:人種間に根本的な優劣の差異があり、優等人種が劣等人種を支配するのは当然であるという思想)も喧嘩もあり、今までに経験してこなかった差別や格差で複雑化したトリッキーな友人関係に悩むなど一変します。

 

母ちゃんの心配や困惑をよそにたくましく、果敢に前を向いてどんどん新しい「何か」に遭遇する息子とパンクな母ちゃんの著者が共に考え悩み、成長していく姿は読んでいる私たちの心を捉え、そして彼らと共に社会とは差別とは、多様性とは、格差とは、教育とは、アイデンティティとは・・現在でも悩み、答えの出ない問題について考えることになります。

 

今思えば、中学生活というのはまさに「世界の縮図」であり、恋愛やいじめ、格差や貧困、多様性、性、アイデンティティ、上下関係、家族、反抗心etc・・今でも社会や組織の根本的な問題となっていることに最初に触れるときで、悩み、考え、心を育てる場だったということがわかります。

逆にいえば、この中学時代を乗り越えられなかったり、ここで悩まなかったりした場合には後々、非常に生きづらくなるということもあるかもしれません。

 

ちょっと私の中学時代を振り返ると、そのまま地元の公立中学に進学しましたが、そこままさに当時の底辺校というべきところで市内でも最も悪い学校といったレッテルが貼られていた学校でした。

特に2つ上の先輩たちがその生きた伝説であり、平成の時代にまだ居たのかいうボンタン、リーゼントで授業中の徘徊、他校との喧嘩、学校放火、先生いじめ、暴走族など、ありとあらゆる問題は経験したと思います。

毎日のように警報が鳴り響き、警察が来る学校、先輩たちが卒業するまでの一年間はまさに刺激的でデンジャラスな1年でした。

 

その先輩の多くが元野球選手だったこともあって私はどちらかといえば助けられることの方が多かったのですが、当然ながら1つ上の先輩も同級生もそんな先輩達への憧れもあり、必然的にそういった人種が増えていきました。

小学生のときから仲の良かった友達が群れ、荒れたオフロードを突き進む中でも私は普通にそんな友達と遊ぶこともあれば、市内有数の進学校を目指す優等生とも仲良かったり、私の友人関係はほんと多様性豊かで、片親だった母の心配は耐えなかったでしょうが、本人はとても楽しい中学生活を送っていました。

友達との喧嘩や仲間割れなんかも経験しましたが、一度殴り合えばわかりあえる男ってやつはほんと楽だと思います。

そこで逃げたり、影でコソコソしたり、本音を隠したりするから後まで引きずってゴタゴタと「嫌な感じ」になるのです。

どんな相手でも言いたいことは言う、自分をさらけ出す、そのちょっとした勇気が道を切り開くのだと思います。

 

本書の主人公である「息子」もレイシズムバリバリな移民同級生に対して、差別発言を止めるように言い続け、大きな喧嘩もしますが最後には一緒に遊ぶ仲になっています。

 

こうして自分に照らし合わせながら本書を読み進めてみると、今職場で起きている問題も、普段悩んでいることも中学生のときに考えて、ぶち当たった壁と一緒であることに気づきます。

 

本書の帯にはアイルランドの詩人オスカー・ワイルドの言葉に続いて母ちゃんの言葉が記されています。

 

老人はすべてを信じる。

中年はすべてを疑う。

若者はすべてを知っている。

子どもはすべてにぶち当たる。

 

困難で複雑な時代の社会を反映している学校生活に無防備にぶち当たり、悩み、それでも前に突き進む姿は、私たちに大きな勇気をくれます。

忘れていた、複雑な時代、それでも逃げずに生きてきた世界。

あの頃に比べたら今なんて・・・

 

本書はあなたに勇気を与え、そしてそっと背中を押してくれる大切な一冊になると思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

紹介図書③

ブレイディみかこ著「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー」

 

 

Comment
7zoesan
7zoesan
2020-01-23 08:27:33ID:170396

>>やそ::さん
これから娘がその世界へ足を踏み入れようとしています。
親として娘が壁にぶち当たったときになんらかの回答を用意しておくにも本書は役立ちますね。
まっ本人が乗り越えるしかないのですが。

やそ
やそ
2020-01-23 06:23:41ID:170390

とても面白そうな本ですね!
中学校は社会の縮図。ほんとそうだと思います。

この記事を書いた人
北海道で理学療法士兼スポーツトレーナーとして活動しています。 これまでの臨床経験から得た気づきや学びに関すること、 日々の読書の備忘録など、徒然なるままに健康と幸福と自身の人生観についてアウトプットしていきたいと思います。 NEMはあまり関係ないことが多く、申し訳ありません!! ツイッターもはじめましたので、よかったらフォローお願いいたします。