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「医療現場の行動経済学」の話 ②

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前回に引き続き、著書「医療現場における行動経済学」についてのまとめと備忘録です。

前回は医療現場における意志決定場面においてかかるバイアスについてまとめました。

今回は、ヒトの意思決定における癖や対処方法についてまとめていきます。

前回の記事

人間の意志決定における癖

 

プロスペクト理論

カーネマンとトベルスキーによって提唱された理論で私達は確率認識のもとで不確実性がともなう意思決定を行っています。確実なものと不確実なものでは確実なものを強く好む傾向があり、これを確実性効果と呼びます。

私達の認識する主観的確率と客観的確率では30~40%の間では一致しますが、確実に発生しないという0%の状況から小さな確率で発生するという状況のときには、その確率を実際よりも高い確率で発生するものと私達は認識します。

逆に100%の状況からわずかにリスクが発生すると確実性が大幅に低下したように感じようになります。

これを図に表したものを確率加重関数といいます👇

 

図 確率加重関数

(点線は確率に感情などが加重されることで非線形を示す、両者は約37%で交わる)

 

プロスペクト理論の例としてよく使われる話としては

A:100万円が100%の確率で手に入る

B:200万円が50%の確率で手に入る

と報酬を強調した場合ではAを選ぶ人が多く、逆に

A:100万円が100%の確率で失われる

B:200万円が50%の確率で失われる

と損失を強調した場合は、Bを選ぶ人が多くなるというものです。

つまり医療現場等でリスクを説明する場合、1%の確率で悪い状況発生するものについては「100人中99人には副作用が発生しません」といったほうが副作用の危険性を小さく感じさせることができます。

また、主観的確率と客観的確率の剥離には自信過剰と楽観と呼ばれるものもあります。

これは、自らが成功する確率について客観的な予想よりも高めに予想するものであり、女性より男性でより高い傾向があります。

 

損失回避

人は自分の設定した参照点(現在の状況、過去の投資した値段、自分の過去の所得や消費水準など)からの損失を回避する選択をすることが多いです。

ある研究では参照点からの利得よりも損失回避の方が同じ金額でも2倍から3倍嫌うという結果がでています。

医療現場では同じ状況でも損失回避、確実性効果をフレーミングに利用することで意思決定方法を変える必要があります。

例えば、「術後1ヶ月の生存率は90%です。」方が「術後1ヶ月の後の死亡確率は10%です」というより手術を選択する人が多くなります。

 

社会的選好

自分自身の物的、金銭的選好に加えて、他者の物的、金銭的利得への関心をしめす選好を持つ人々がいることが想定されています。このような選好を社会的選好といいます。

これらは自分の利益よりも他の人にどの様に思われるか、社会道徳性が重要になります。

社会的選好には利他性、互恵性、不平等回避などがあります。

 

その他、意思決定に影響を与える因子

 

限定合理性

将来の不測事態をすべて予見したり、最適な行動を計算に入れたりすることは出来ないという人間の知的能力の限界をいいます。何が起こるか分からない場合の期待効用の計算のように,そもそも最適な選択が不可能な場合にも適用され、過去の経験や直感に頼った意思決定や満足化基準などがあります。

 

意志力

精神的あるいは肉体的に疲弊しているときには私達の意思決定能力が低下します。

 

選択過剰負荷

選択肢が多い場合、どれを選ぶのかが困難となり結局治療そのものを受けなくなることがあり、選択肢を減らしたほうが選択行動そのものを促進する傾向があります。

 

情報過剰負荷

情報が多すぎると情報を正しく評価して、よい意思決定ができなくなることをいいます。

重要な情報だけをわかりやすく伝えることが必要です。

 

平均への回帰

極端に悪化した状態では平均的な状況へ戻る可能性というのがもともと高いですが、その時に民間療法で治療を行っていたりした場合には、民間療法の効果を高く見積もりやすくなってしまいます。

 

メンタルアカウンティング(心理会計)

本来考えるべき範囲よりも狭い範囲で意思決定しがちなことをメンタルアカウンティングといいます。

メンタルアカウンティングは「人は同じ金銭であっても、その入手方法や使徒に応じて、時に、無意識に重要度を分類し、扱いを変えていること」と定義されています。

この心の動きは自身の選択に対する評価という意味でも応用することができます。私たちは感情的な要素を差し引いて収支を計算して、行動を起こすか、起こさないか、選択するか、先延ばしにするかを決定しています。

メタルアカウンティングの例としては食費として考えていたお金を食費にしか使えないなど、手に入れたお金の方法によって使い方が変わってしまうことなどがあるます。

 

ヒューリスティック(近道による意思決定)

①利用可能性ヒューリスティック(詳細は前回記事を参照)

正確な情報を手に入れないか、そうした情報を手に入れないで身近な情報や即座に思い浮かぶような知識をもとに意思決定を行うことをいいます。

②代表性ヒューリスティック

意思決定をする際に統計的推論を用いた合理的な意思決定をするのではなく、似たような属性だけを基に判断することです。つまりは特徴が強調されて意思決定に影響を与えるというのものです。

例えば、学校で吸い殻が見つかりました。どちらが犯人だと思いますか?という質問があったとき、

A:中学生

B:喧嘩で停学明けの中学生

どちらも中学生という意味で確率は変わりませんが、直感的に停学明けという特徴を基にBを選んでしまうことを代表性ヒューリスティックの代表例といえます。

 

アンカリング効果

全く無意味な数字でもその数字を参照点に意思決定をしてしまうことをいいます。

例えば、高級ブティック店で一番目のつく店頭に最高級品が展示してあり、価格が提示されていると、消費者はその価格にアンカリング(基準化)して、その他の商品を安く感じてしまうことをいいます。

 

極端回避性

人は上・中・下がある場合真ん中を選びやすくなることをいいます。

 

同調効果

同僚や隣人の行動をみて意思決定することをいいます。

 

年齢

認知能力が高い人よりも低い人の方が、同じ人でも時間的な制約がある人のほうがヒューリスティックを用いた意思決定をする傾向があります。これは覚えていることや知っていることが動機付けになる再認、自分と似ている人の行動を観察することによって関連する情報を得る模倣、同調効果により説明されます。

 

まとめ

 

前回に引き続き、人間の意思決定における思考の癖や意思決定に影響を与える因子について、行動経済学用語を用いながらまとめていきました。

医療現場においては様々な場面で本人、家族に意思決定を求める場面があります。

私は説明する側の視点として、自分の説明方法やフレームの提示によって意思決定に影響を与える可能性があることを知ることで言葉の選び方や提示方法について学ぶことができました。

また、自分が意思決定する場面ではこのようなバイアス、影響下に常にさらされていることを知り、冷静に利益や損失、確率を判断した上で自分なりの合理性を基に判断することが必要だと感じました。

 

次回(最終回)はパターナリズム(父権主義)、ナッジなどについてまとめていき、より後悔が少なる意思決定の方法論について学んでいこうと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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Comments from NEMber
7zoesan
2019-03-27 13:51:07ID:90196

>>うぇんじにあ::さん
そうですね、日常をメタ認知するといろいろとありそうです。今度メタ認知トレーニングをしようと思ってますのでそのときはまた記事へのご訪問お願いします。

7zoesan
2019-03-27 13:49:29ID:90195

>>matsuno::さん
お楽しみに!

7zoesan
2019-03-27 13:49:07ID:90194

>>YUTO::さん
そうですね、損失回避はバイアスとしてはとても強いのだと思います。その割に宝くじなどを買うという矛盾も生じてます。確率性原理は面白いです。

うぇんじにあ
2019-03-27 13:32:45ID:90188

アンカリング効果と、極端回避性って、普段買い物に行く小売店とかでも絶対使われていて無意識のうちにその法則に基づいた意思決定をしている気がします!!

客観的に自分を見ないとな〜〜〜〜^^

matsuno
2019-03-27 08:51:07ID:90077

最終回も気になります!

YUTO
2019-03-26 23:41:42ID:89883

>>7zoesan::さん
この記事を全体的にみると、人間は損失回避をしたい生き物であるという感じがします。
これはビジネスや教育でも使えそうだし、応用を調べるだけでも面白そうです。

物愚者
2019-03-26 21:51:31ID:89813

>>7zoesan::さん

m(_ _)m

7zoesan
2019-03-26 21:48:50ID:89807

>>物愚者::さん
素直に受け取りました!ありがとうございます!

物愚者
2019-03-26 21:28:56ID:89787

>>7zoesan::さん

皮肉抜きで、私は体系的な知識に欠けておりますのでこういう記事は助かります笑

7zoesan
2019-03-26 21:27:08ID:89785

>>物愚者::さん
決め台詞がチラつきます笑
アイロニー!

NEMber who posted this article

北海道で理学療法士兼スポーツトレーナーとして活動しています。
これまでの臨床経験から得た気づきや学びに関すること、
日々の読書の備忘録など、徒然なるままに健康と幸福と自身の人生観についてアウトプットしていきたいと思います。
NEMはあまり関係ないことが多く、申し訳ありません!!

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