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笑わないで聞いておくれよ

nem8.90xem (6) 197 14 0
和泉 2019-04-13 00:26:49

昔、あるところにA君とB君がいました。

 

A君は社交的でなく、楽天家の怠け者でした。

B君は社交的で、現実主義の努力家でした。

 

A君とB君は同じ学校に通っており、趣味も一致したことから、たまに遊ぶようになりました。

学校で会い、ちょうど暇が合えば遊びに出かける……そんな間柄となりました。

 

そして時は流れ、A君もB君も社会人となりました。

「社会人になる」

その事実は色々な変化をもたらします。

生活習慣、交友関係、周りの環境……それは例外なく、彼らと彼らの周りにも影響を与えました。

共に過ごす時間も徐々に減り、連絡を取り合う頻度も少なくなっていきました。

 

「疎遠になっていくその間柄をなんとか維持しよう」

B君はそう考えました。内心、消えていくかもしれないその繋がりを、寂しく思ったのかもしれません。
彼は定期的な集まりを企画し、恩師が引退するならば人を集め、定期的に周りへと連絡を行っていました。

A君は欠かさず、その集まりに参加していました。

B君の行動力を見て、自分ではできない凄いことだと、少しでも皆が楽しくいれればいいなと、参加をしていました。
社交的でなかった彼も、その薄れていく関係を寂しく思っていたのかもしれません。

 

奇しくもA君もB君も同じ業界に進んでいました。

A君はマイペースにのんびりと。日々、それなりに楽しく生きられればいいや、と働いていました。

B君は持ち前の努力家っぷりを発揮し、バリバリと働いていました。ついには仕事で知り合った人とふたりで、会社を始めるぐらいになりました。

 

ただ、B君は無理をしてでも、厄介ごとを請け負ってしまう癖がありました。

「俺が週三日ぐらい徹夜しても、スケジュールが間に合うならそれでいいんだ」

責任感からも、そんな言葉が口をついて出てきていたのでしょう。

たまに顔を合わせてはそんなことを笑って話すB君を見て、A君は内心、「そんなに身を削って得られるものとは一体、なんだろう?」と考えていました。

 

A君は仕事がそれなりに好きでした。比較的じっくりと取り組める環境だったので、焦らず急がずゆっくりと、自分のペースで仕事を進められたのです。

B君は仕事が大好きでした。海外と日本を往復し、営業から開発までこなし、接待後には会社に泊まり込む。そんな忙しい日々を過ごしていました。

 

そんななか、ある日の集まりで、A君とB君は些細な衝突をしました。酔っ払い同士の言い合いという、どこにでもあるようなことです。

「あんまり辛い仕事なんてしたくない、それなりの稼働でそれなりの結果を出せればそれでいいよ。長時間、身を削るような仕事なんてしたくないよ」

A君のそんな言葉に、B君は反発しました。

「どれだけ拘束時間が長くとも、対価として残業代が出ていればそれでいいだろう。定時で帰るなんてせず、もっと働くべきだ」

「でも体を壊したりしたくないよ。それに、そんな前例を増やしたくはない」

「対価は払っている。俺は努力して、この業界に貢献している」

彼らは仕事に関する方向性では分かり合うことができなかったのです。

そもそも、彼らは仕事に対する姿勢としても相反していました。こういったことが起こるのは時間の問題だったのでしょう。


でも、それはあくまでも酒の席の話。きっと次に会うとき、彼らはまた、楽しく酒を酌み交わすことができたでしょう。


それからまた少し経つと、A君の元に大きめの仕事が舞い込みました。

A君もハードワークが嫌いとはいえ、会社員。やるべき仕事はどうにかしなければいけません。どうにか、しなければ。

 

A君も短い間でしたが、たくさん働くことになりました。そこで彼は自分の置かれた環境と、自分自身の問題に気付き始めます。

何もしない上司、仕事を増やす後輩、そして必要なスキルの足りない自分……休憩時間もなげうち、ひと月の残業時間が100時間を超え……。

彼はこうなった原因を探しはじめました。

 

上司が悪い。

後輩が悪い。

自分が悪い。

きっと、彼は思ったのでしょう。全てが悪いのであれば、全ては悪くないのだ。それが普通であり、これが日常なのかもしれない。

 

そしてA君は神経を弱らせてしまったのでした。

心を少しと、体を少し、病んでしまったのです。

簡単には眠ることができなくなり、寝ようとしたときに呼吸をやめていることに気づきました。

苦しくもないのに、気づけば呼吸をやめている。そのことが恐ろしく、瞬時にハッと目が覚める。

そんな日々を積み重ねることになってしまったのでした。

 

A君がそんな日々を暮らしていると、ある日、B君と共通の友人から連絡が来ました。

B君が亡くなったと。朝、眠った姿のまま、起きてこなかったようだと。

 

A君は愕然としました。この年齢で? 早すぎるじゃないか。

 

後日、B君の通夜にA君は参列しました。

しかしA君の意識はなんだか、ふわふわしていました。これが現実感がないということだろうか? そう思っていました。

人を入れるための木製の箱……棺桶に横たわるB君、泣いている親族、斜め下を見つめている同世代の人たち、焼香のにおい。

全ては目の前にあるのに、本の中の世界のようでした。

 

B君の死因は不明。ただ普通に寝て、ただ普通に起きてこなかった、ということでした。

A君はそのことを聞いて少しどきりとしました。

寝ようとして、呼吸をやめている自分がいる。その恐ろしさで目が覚める。

もう少し後戻りのできないところに進んでいたら、そこに僕も横たわっていたんじゃないか?

 

通夜の夜、A君はC君と再会しました。C君も同じ学校出身の友人でした。

ただ、以前会った時よりも、C君は顔が青くなっていました。話をすると、C君もA君と同じ病にかかっているようでした。

完治はせず、寛解のみ。

そしてその発症理由を聞いてみると、仕事が忙しく、プレッシャーが重かった、と。

 

しばらくして、A君は日常生活を正常に送れるように回復しました。

しかし、上手く睡眠は取れないまま。病気も鳴りを潜めていますが、いつ再発するか分かったものでもない。

おそらく、彼はもう、病気をする前と同じ精神状態に戻ることもないでしょう。

 

それからのA君は、働いているときにふと、考えるようになりました。

どうしても、B君の通夜の光景が忘れられないのです。

「体を壊すほどの仕事をして得るもの、得たものとはなんだったんだろうか?」

賃金? やりがい? それらのために、一体、どれだけのものを投資してしまったのか?

一生連れて歩く病を抱える必要があるほどのものを、得られたのだろうか?

 

A君にはそれがまだわかりそうもありません。

そしてこの先も、それを理解できる機会がくるのでしょうか?

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Comments from NEMber
和泉
2019-04-16 22:32:36ID:104700

>>Hana::さん
むしろ、答えが見つからないから生きている、という部分もあるのかもしれませんね。

Hana
2019-04-16 22:21:25ID:104688

いつも、いつも、答えが見つからない自身と、友人の死を思い出す^^

和泉
2019-04-15 22:29:46ID:103889

>>ほなねむ::さん
根を詰めすぎて頑張っている人には一度、立ち止まって考えてみてもらいたいものです。

和泉
2019-04-14 22:31:42ID:103148

>>やそ::さん
A君はA君で「こうやって暮らしたい」って想いがあり、B君はB君でそうするバックボーンがあったんでしょう。
そのうえでそれを実行できている間は幸せ、ということかもしれませんね。

やそ
2019-04-14 20:52:40ID:103065

AB君、どちらが幸せなんでしょうね。
どちらも幸せなんでしょうね。

和泉
2019-04-13 17:29:47ID:102152

>>オーウェン::さん
仕事のし過ぎで亡くなってしまう人もたぶん、本当は「仕事のし過ぎで死ぬ」という実感がないからとは思っています。
よく犯罪の報道とかで「いい人だったのに、そんなことするなんてねぇ」とかインタビューで答えるのと同程度の認識しかないのだと思います。自身のことなのに。

ただそういった人が「楽しかった」「幸せだった」と思っていてほしい、とは思います。

和泉
2019-04-13 17:22:29ID:102148

>>7zoesan::さん
太く短く生きれたら、それで良いっていう話もありますしね。
どのぐらい本心でそれを言う人がいるかはわからないですが、(太さ、短さには程度の差はあれ)それだけ他のことを差し置いてでも熱中できることがあるというのは幸せなことですものね。
逆にA君はそれだけ熱中できるものに出会えることがない、または出会ったときには熱中できるだけのリソースがなくなっているといった可能性もありますので。

自分の人生をゆっくり考える、というのは本当に大事だと思います。
今まで、現在、これから。何をしたくないか、何をしたいか。どうしても、人生は過ぎていくものですもの。

和泉
2019-04-13 17:13:02ID:102145

>>tom::さん
そうなんですよね、残業が悪かと言われると悪でもないし、善でもないし。個人によりますし。
どうしても繁忙期・閑散期というものもありますし。でも本当、無理は禁物ですよね。歳をとればとるほど。。。。

和泉
2019-04-13 17:08:48ID:102144

>>matsuno::さん
個人的にA君的な人のほうが世の中、多いのかな? と思います。
B君的な人のほうが、何かを成し遂げる人は多いかもしれません。それなりのリスクは伴うと思いますけども。

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湘南のポエマーを目指しているおじさん。

ポケットの中の少ないNEMと共に、未来を見つめたいと思っています。
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