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【読んだ気になれる】太宰治「グッド・バイ」

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〈要約〉
闇商売に手を出し大儲けをしていた田島がそろそろ足を洗おうとするところから物語が始まる。
田島は何人もの愛人がいて、その彼女達と別れる決意をする。しかし体裁を気にする癖にヘタレな田島は別れ話も中々持ち出せない。そこである先輩作家に相談したところ、「すごい美人」を妻として連れていけば丸く収まるのではとアドバイスを受ける。ある日闇市で取引したことのあるガサツで怪力な女性「キヌ子」の着飾った美しい姿を見た田島は、彼女に妻役を依頼することにした。
田島はキヌ子と愛人の元をまわるが、弱みを握っていることをいいことにキヌ子は田島を振り回し困らせる。田島はこのままでは男の威厳が保たれないと、酔ったふりをしてキヌ子を抱き自分の女にしようとするが、怪力のキヌ子には手も足も立たずあっさり返り討ちにされてしまった。
情けない姿を晒した田島は相変わらずキヌ子に頭が上がらないまま、次の愛人の元に赴く。

 

 

○感想
「グッド・バイ」は完結しないままその作品の幕を閉じてしまいました。執筆されたのは太宰が亡くなった年の昭和23年であり、この作品は最後に脱稿した「如是我聞」の一日前に脱稿されたものと記録されています。

個人的に「グッド・バイ」は太宰作品の中でも特に印象深い作品です。
理由はまるで現代小説のようなコミカルなタッチで描かれていたから。

 

主人公田島は太宰お馴染みの体裁ばっかり気にするダメ男なんですが、今までの太宰作品のどのキャラよりもコミカルに、面白おかしく描かれています。
それが最もよくわかるのが、あまりにもめちゃくちゃなキヌ子を自分のものにしようと企み彼女の家に訪れた時の場面。

 

田島は窮して、最もぶざまで拙劣な手段、立っていきなりキヌ子に抱きつこうとした。
グワンと、こぶしで頬を殴られ、田島は、ぎゃっという甚だ奇怪な悲鳴を挙げた。(中略)キヌ子のあの怪力を思い出し、慄然として、
「ゆるしてくれえ。どろぼう!」
とわけのわからぬ事を叫んで、はだしで廊下に飛び出した。

 

女性と男性の力関係がここまでハッキリと描かれており、その上その力関係がこれまでの作品とは逆転しています。

今でこそこのような「情けない男性」と「強い女性」という組み合わせは珍しくないですが、当時の時代背景を考えるとやはりまだまだ女性の権利が低い時代。その中でこのような設定を持ってきて、さらにはそれをコミカルに描くというのは中々新鮮だったと思います。

 

先に引用した場面に続く田島の姿はもっと情けない。

 

ドアの外で、
「あのう、僕の靴を、すまないけど。……それから、ひものようなものがありましたら、お願いします。眼鏡のツルがこわれましたから。」
(中略)はらわたの煮えくりかえるのを覚えつつ、彼はキヌ子から恵まれた赤いテープで、眼鏡をつくろい、その赤いテープを両耳にかけ、
「ありがとう!」
ヤケみたいにわめいて、階段を降り、途中、階段を踏みはずして、また、ぎゃっと言った。

 

この次の日にはとうとうキヌ子に対して敬語を使うようになる田島。


物語が盛り上がりこれから一波乱あるんじゃないかってところで残念ながら幕は閉じられてしまうわけですが、読了後はどうも彼らのいきいきとした姿が頭から離れず、印象深い作品となりました。

 

以前書いた「如是我聞」の記事では、太宰が「老大家」に「若い者の意見も聞いてくれ!」と訴えたことが主題であったと述べましたが、同時期に書かれたこの作品はその意味で「新しいことに挑戦する若い者のための作品」という読み方ができるのではないかと思います。

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ネムログ気になったのでライブドアブログからいくつか移行します。

趣味は読書(特に太宰治)、アニメ鑑賞(特に幾原作品)、京都観光。
京都には足繁く通っているので色んな情報を提供できたらと思います。

また、教育実習、学校教員(少しですが)を経験して思ったことも少し書けたら良いと思います。

現在はwebデザインを勉強中。
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