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COSMOS

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半端少年 2019-05-09 12:38:27

 

プロローグ 神隠し:前日談

 

 

 

 

 

ただ、少しの出来心で友達と遊びに出て来ただけだった。

 

勉強が嫌で。

居場所がない家が嫌で。

話を聞いてくれない親が嫌で。

 

深夜。

家の近くにある神社に、好奇心で肝試しに行った。

 

神社に入って、境内を適当に見て回って、帰るだけ。

特にこれといった目的は無い。

ただ、スッキリしたかった。

 

必要と求められることだけをするんじゃなくて、

無駄と分かっていても、必要のないことを友達と一緒に楽しみたかった。

怖いって一緒に笑いながら、走って逃げてみたかった。

 

親に黙って出て来たから、親に見つかる前に帰るつもりだった。

 

 

それなのに、

 

 

 

 

 

 

なんでこんなことになったんだろう。

 

目の前にあるのは暗闇だけ。

神社を歩いていたはずなのに、何故か今は座ってる。

手には、土ではなく、固い石畳のような感覚。

 

ここは何処だろう。

なんでこんなことになったんだろう。

 

僕はいったい、何をしてしまったんだろう。

 

 

 

暗闇は、僕の問いには答えない。

 

暗闇は、僕の叫びに応えない。

 

暗闇は、いつまでも僕を、閉じ込める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇の中、どれほどいたのかもわからない。

外に出るために、爪を立て、拳を打ち付け、音を叫んで、もがき暴れまわった。

 

それでも、この暗闇からは出られなかった。

 

僕が一体何をしたというのだろうか。

 

夜に遊びに出たのがいけなかったのか。

勉強から逃げたのがいけなかったのか。

親に何も言わなかったのがいけなかったのか。

 

そのすべてが悪いようにも思えてくる。

でも、何故、そのくらいのことが許されない。

 

毎日学校へ行った。

友人の誘いを断って塾へ行った。

家に帰って一人でご飯を食べた。

その後もまた勉強した。

 

親に怒られたらそのたびに、謝って、反省して、机に向かった。

好きに遊んだ記憶なんて、ほとんどない。

 

僕は、僕なりに頑張ったはずだ。

 

それなのに。

それでもまだ、足りないというのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと、物音がした。

 

僕が発した音じゃない。

恐怖にもがいていたはずなのに、いつからか僕は諦めていた。

身体の感覚もなく、音も暗闇に飲み込まれた。

身体の五感に届くのは、煩いほどの黒だけだった。

 

そこに、音がした。

得体のしれない何かが、出どころの分からない音が怖かった。

それでも、気づいたら叫んでいた。

 

「たすけて!」と、そう叫んだつもりだった。

けれど、自分の耳に聞こえた自分の音に、言葉なんてものは存在しなかった。

 

それでも、音の意味は届いたのだろうか。

ズズッと重い何かがズレる音が響き、スッと暗闇を切り裂くようなまばゆい光が目を焼いた。

 

 

 

 

「どなたか、いらっしゃいますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫、ではありませんね」

 

光の中からこちらを覗く女性は、僕を見てそう言った。

 

 

 

 

 

 

「私の名前は、千歳と言います。宜しくお願いしますね」

 

「こちらこそ、宜しくお願いします」

 

僕が泣いてから落ち着くまでの間、千歳さんはずっとそばにいてくれた。

 

恥ずかし過ぎて思い出したくもない、みっともなさすぎる泣き方。

千歳さんの顔をまともに見ることが出来ずに、足もとばかりに視線を落とす。

 

「…ふふっ」

 

「ど、どうかしましたか?」

 

「いえ、先程のことを思い出してしまいまして」

 

「ううっ」

 

助けに来た彼女に、僕はあろうことか縋りついた。

僕を心配して駆け寄ってくれる彼女を押し倒して、小さな子供の様に泣きついた。

 

セクハラだと訴えられたら、きっと僕は負ける。

それ程怖い思いをしたというのは、免罪符になるだろうか。

いや、きっと難しいだろう。

 

「あれは、すごかったですねー」

 

「うぐっ」

 

さっきから、自分の痴態を思い出しては自己嫌悪し、自分の心に爪を立てている。

そんな中で、彼女にさえも剣を突き立てられたら、良くて致命傷、悪くて即死だ。

 

つまるところ、今の言葉で僕の心は死んだのだ。

 

「あ、すみません。別に責めた訳じゃないんですよ。あの暗闇は仕方ないですって。誰でも怖いですよ」

 

「ハイ」

 

「何と言いますか、うん、そうですね。久し振りのことで、その、嬉しかったんですよ」

 

千歳さんのその言葉には、心なしか寂しさが感じられて。

どんな顔をして話しているのかが気になって。

 

僕は思わず顔を上げた。

 

「やっと顔を上げてくれましたね」

 

「あ、えと、すみません」

 

瞳に映った彼女の顔には、僕の感じた寂しさの色はなく、ただただ優しい色が広がっていた。

恐らく、僕の気のせいだったのだろう。

 

そう思うと、また恥ずかしくなってきた。

 

「そろそろ出口ですよ」

 

 

 

 

 

 

振り返って思う。

 

肝試し中の、突然の移動。

そして暗闇。

光の中から現れた千歳という女性。

 

普通に考えれば、不思議に思う状況。

しかし、このときの僕は突然の暗闇と恐怖から救われた安心感で、考えることを放棄してしまっていた。

 

普通であればありえないことが起こったのだ。

ならば、この洞窟の外に今までと同じ世界が広がっているという保証は、すでにない。

 

道を歩き、昨日から今日を経て明日を目指し、日々を未来のためにひた走る。

そんな世界の前提には、いつも常識が付きまとう。

 

すなわち、次の瞬間には「自分は死なない」という無意識の確信。

すなわち、明日は今日の「地続きの明日である」という確固たる信頼。

すなわち、その一歩先の世界、その目を開けた先に映る景色、その手に掴んだ未来の日常。

 

その全ての前提が、理由が、信念が今までの世界と同じであると疑わない。

 

だから、その洞窟を抜けた先、そこに広がる世界も、僕は知っているとすら考えない。

その先にあるのは、常識を打ち砕く、非常識という名の衝撃だというのに。

 

 

 

果たして、世界に常識は通じない。

だからこそ―――

 

 

 

 

 

 

 

―――常識は、斯くも容易に崩れ去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洞窟を出た先にあったのは、未だ夜の静寂が支配する草原だった。

 

それにしても、洞窟の中は何故だか外よりも明るかったような気がするけど、気のせいだろうか。

 

「そういえば、万尋さん、でしたよね?」

 

「はい、そうです」

 

「万尋さんは、ここに来るのは初めてですか?」

 

「ここ?」

 

こことは、いったいどこの事だろうか。

草原の事か、それとも洞窟の事か。

 

草原は学校の行事で何度か来たことがある。

しかし、洞窟は今日初めて入った。

もう入りたいとは思わない。

 

「なるほど、分かりました」

 

「?」

 

何が分かったというのだろうか。

千歳さんは僕の反応を受けた後、何故だか一人でぶつぶつと悩みだしてしまった。

 

「やっぱりやらなきゃダメですか」とか「でもなぁ」とか、言っているのが聞こえる。

何かやりたくないけどやらなきゃいけない事でもあるのだろうか。

 

 

 

千歳さんが一人で悶々しだしてから少し経って、少し小高い丘に入った。

 

「そういえば、今どこに向かっているんですか?」

 

「そうですねー、私の家のつもりだったんですけど、万尋さんはここが初めてということですし、時間もちょうどいいので、少し寄り道です」

 

「寄り道ですか?」

 

「はい。もうすぐ着きますよー」

 

千歳さんが言う通り、ほどなくして丘の上、大きな湖が見渡せる場所へ出た。

 

 

 

「ここは?」

 

「見ての通り、湖ですよ」

 

「ここが、寄り道ですか?」

 

「ええ、もう少しで夜が明けますから。一緒に見ようと思いまして」

 

夜明け、もうそんな時間か。

思っていたよりも、時間が経っていたようだ。

 

それにしても、生で日の出を見るのは初めてだ。

それ以前に、こんな時間に起きていたこと自体が初めてかもしれない。

まぁ、今日は徹夜なんだけど。

 

そういえば、徹夜も初めてだ。

なんだか今日で、色々な初めてを経験した気がする。

 

今までにやれなかった、許されなかったことをした。

それが分かっただけで、家への気は晴れたかもしれない。

 

 

 

「さぁ、夜明けがはじまりますよ」

 

 

 

これから見る景色を、僕は一生忘れないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが君の世界の夜明けです」

 

千歳さんはそう言った。

でも、僕は何がなんだか分からない。

 

太陽は一向に姿を見せず。

されど、光は湖に貯まっていく。

 

空から湖に光が降り注ぐのではなく、湖の中から光が沸き上がる。

 

「え…え?」

 

なんといっていいのか分からない。

異常だ。

ありえない。

 

それでも目の前にはありえている。

 

疑問を溢そうとしても、出て来るのは溜息だけ。

夢のはずなのに、その光景は眼前に偽りなく広がっている。

 

否応なく光を湛える湖。

いくら否定しようとも突きつけられる神秘。

 

 

 

「信じたいものを信じなさい。それは君の世界だろう?」

 

 

 

千歳さんの言葉が、何故だかすごく心に染みた。

疑わなくていいのだろうか、この光景を。

喜んでいいのだろうか、この出会いを。

 

信じてもいいのだろうか、この世界を信じる僕自身を。

 

静寂が晴れる。

暗闇が開く。

夜明けが始まる。

 

湖の光が溢れて、弾けて、そして

 

 

 

 

 

 

 

「どうだい、世界に裏切られた気分は」

 

 

 

 

 

 

 

僕の世界の、夜が明ける音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湖から溢れた光は、空へと昇り、天上に反射して夜明けに降る。

闇が晴れ、空気が蒼く色付き、何処までも透明な空を包む。

 

世界に色がついていく。

彩色無限の遥かな世界。

 

 

 

 

「未知への好奇。既知への憧れ。心を焦がして、熱を叫べ」

 

「恐怖が楽しく。絶望が尊く。怒りに胸を躍らせて。ただひたすらに、ただ夢中になって追いかけろ」

 

「それが既知を未知へと至らしめ、それが未知を既知と成す」

 

 

彼女は謳う。

僕に何かを伝えるために。

 

 

「なにがなんだかわからない? 嬉しいね、その呆けた顔が熱に浮く瞬間に」

 

「私は君のその巣立ちに立ち会える」

 

 

彼女は問いかける。

僕の背中を押すために。

 

 

「矛盾を感じたことはあるかい?」

 

「理不尽は? 不条理は? 不平等は? 不公正は?」

 

「知っている、視っている、史っている、詩っている」

 

「知識はある、見たことも有る、その身を浸したことも覚えもあれば、その喉を震わせた記憶もある」

 

「だろう? しかしそれはあり得ない」

 

「世界にそんなもの、存在するはずが無いのだから」

 

「では、もしそれらを感じたら? おめでとう、それが君の世界の限界だ」

 

 

彼女は笑う。

僕に熱を教えるために

 

 

「だから、喜べ、笑え、鳴き叫べ」

 

「それはただのきっかけだ」

 

「君が世界の殻を破る、君が既知の枠を打ち砕く、君が未知のその先へ――――」

 

「そう、世界と出会うためのただ一つのきっかけに過ぎない」

 

 

彼女は僕の手を取って、僕は彼女の手を握る。

 

 

「ならば駆け出せ、君が夢見た世界の果てへ」

 

「君にしか戴けぬ、君だけの世界を掴むために」

 

「見据えた財宝を、手に入れたガラクタを、捨て去った山の如く巨大な夢を、すべて背負って道と成せ」

 

 

 

 

「ここは君が求めた世界の終わり。ここは君が夢見た幻想郷

 

 

 

 

貴方の目に映る僕は、

 

 

 

 

「ようこそ、ようこそ、ようこそ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ――――――

 

 

 

 

どんな顔で笑ってる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――悠久なる箱庭、外れた者たちの集う場所 ”コスモス” へ。

 私たちは、貴方を歓迎します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は今日、世界と出会う――――――――。

 

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Comments from NEMber
半端少年
2019-05-10 15:12:40ID:115519

>>matsuno@漆黒のFiFiイベ連動企画隊員::さん
何かしら受け取って貰えたのならよかったです。
絵も頑張った甲斐があります。有難う御座います。

また、こちらの記事を紹介してくださった様で、有難う御座います。

半端少年
2019-05-10 15:09:53ID:115518

>>やそ::さん
(私の脳内では)続いてますよ!
見てくださってありがとうございます!

やそ
2019-05-09 22:12:43ID:115217

続く。

でいいんですよね???
こういうの大好き!

matsuno@漆黒の
2019-05-09 21:21:31ID:115182

うまく言えないけど、伝わってくるものがあります!
絵が凄く丁寧でいいですね!こういう絵柄好きなんですよねー

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