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【アニメ】京都アニメーションの最高傑作『リズと青い鳥』の感想と考察

nem9.40xem (1) 736 2 0

今更ですが、京都アニメーションの名作である『リズと青い鳥』についての感想を書きたいと思います。


この作品は本当に大好きで冗談じゃなくもう30回以上は軽く観返しているのですが、改めて気づいたことや感想を記しておこうと思い立った次第です。

 

 

○概要
『リズと青い鳥』は京都アニメーションの名作である『響けユーフォニアム』のスピンオフ作品になっています。
『響けユーフォニアム』は現在劇場版が公開されていますね。

 

元々『響けユーフォニアム』は好きだったのですが、『リズと青い鳥』はユーフォの「部活!青春!友情!」の熱い雰囲気とはまったく違い、二人の少女の悲しくて切ない変化をこれでもかというほど丁寧に繊細に描いています。

 

監督は劇場版『聲の形』を監督した山田尚子監督です。『聲の形』でもわかるのですが、この監督は繊細なタッチでその一瞬一瞬を捉えるように作品を描くことが特徴としてあげられます。『リズと青い鳥』も例外ではなく、むしろ山田監督の特徴が最も活かされた作品として仕上がっています。


スカートを翻す瞬間、指先の細かな動き、微かに震える睫毛。

本当に言われなければ気がつかないようなところまで詳細に描いていて、この作品全体の繊細さを一つ一つの所作から感じることができます。

 

 


○あらすじと感想

この作品では『響けユーフォニアム』でも人気キャラクターであった鎧塚みぞれと傘木希美(のぞみ)を主人公にし、少女同士の悲しく切ない変化を描いています。

 

あらすじは以下の公式サイトからの引用でご確認ください。

(引用元:『リズと青い鳥』公式ページ

 

一応『響けユーフォニアム』を観ている前提なのですが、観ていなくても特に問題はありません。というか、この作品は『響けユーフォニアム』とは全く毛色が違う作品になっているのでかなり独立した内容となっており、ユーフォのフィルターがない分楽しめる作品になっていると思います。

 

個人的にこの作品が何故京都アニメーションの最高傑作なのかというと、少女特有の繊細さ、複雑さを非常に文学的に描いているからです。演出、台詞、キャラの仕草、音、フレームワーク、画面の隅から隅に至るまで何もかもが完璧に考えて作られており、勢いに任せたところが全くなく視聴者側が読み込めば読み込むほど味が出る作品に仕上がっています。

特にみぞれの希美への想いと希美のみぞれへの想いのすれ違いには心が締め付けられます。

 

例えば最初の場面。


みぞれが希美を校門で待つ場面では、登校する生徒の足音が強調されています。希美の軽やかな足音が聴こえるとみぞれの気分が高揚したことを表すように楽しく跳ねた音楽が流れ出します。
みぞれが希美の登校を心待ちにしていることが音楽を効果的に使うことによって把握することができるようになっていますね。

 

しかし私が特に心奪われたのは、みぞれが反対側の校舎にいる希美に気づく場面。

ここだけでもこの映画の繊細さと美しさが伝わると思います。
音楽そのものがみぞれの希美への想いを表しており、こちらまで胸が締め付けられてしまいます。
この場面で流れている曲の曲名は「reflection allegretto you」というのですが、希美のフルートの光がみぞれに反射(reflection)し、みぞれの鼓動が高鳴る(allegretto:音楽用語で「急に早くなる」)様子を的確に、繊細に表現しており、台詞が一切ないにも関わらず最もみぞれの感情が伝わる場面となっています。
正直ここは映画史に残る名シーンではないかと思います。それほどまでに美しい。

 

 

○考察
ここでは既に出尽くされているものもありますが個人的に気がついた、気になったシーンと考察をあげていきます。
以下からは完全にネタバレとなりますのでご注意ください。

 

・足音の対比
序盤のシーンで足音を強調していることは既に述べました。希美の足音が近づくとみぞれも立ち上がり二人の足音が重なって共に音楽室に向かうのですが、映画の最後には二人の足音が重なることなく別々のところに向かう様子が描かれています。重ならない足音から序盤の依存関係との対比をさせて二人の決別を表現しているのは最早小津安二郎の世界です。

 

・回想の対比
みぞれと希美がそれぞれ出会いを回想するシーンがあるのですが、みぞれの回想シーンは水彩画のように主線が曖昧で非常に抽象的に描かれています。

それに対して希美はみぞれに出会ったときのことをよく覚えていないと言うのですが、その回想シーンではみぞれ以上にはっきりと、主線も描かれて美しく鮮明に覚えていました。


回想シーンの対比により、希美が自分で思っている以上にみぞれのこと深く想っているということがこの対比描写からわかるようになっているのです。

 

・学校という名の鳥籠
この映画では徹底的に学校の外は映しません。学校という空間が一つの鳥籠となっており、その閉鎖空間からの脱出というのもこの映画の主題の一つになっています。

 

・リズと青い鳥
この物語ではみぞれと希美それぞれを絵本のリズと青い鳥に重ねています。

前半ではみぞれが一人ぼっちだった少女のリズ、希美がみぞれの元に現れた青い鳥として描かれていましたが、後半ではそれが逆転し、そのことによってみぞれの才能が開花することになります。

どちらもリズであり青い鳥と示すことで、二人の関係の変化により深みを持たせる作りとなっています。

 

・届かない想い
映画のクライマックスではみぞれの希美への想いが爆発するのですが、結局二人の想いが通じることはありません。
「希美の足音が好き。希美の笑い声が好き。希美の髪が好き。希美の全部…」と必死に自身がどれだけ希美に心酔しているか訴えるみぞれ。しかしみぞれの才能に羨望と絶望を抱いてしまった希美はそのどれも心に響きません。

みぞれの言葉を遮って「みぞれのオーボエが好き」と返した希美はそこからたっぷり27秒、みぞれの返事を待ちますが、とうとう欲しかった言葉は返ってきませんでした。

みぞれにとっては希美に音楽の才能があろうがなかろうがどうでもよく、傘木希美という個人そのものを求めています。

しかし、音楽に情熱をそそぐ希美にとって欲しかったのは羨望の対象であるみぞれからの「希美のフルートが好き」というたった一言。


みぞれの無言に希美は思わず笑いますが、その笑顔はどこか悲しさを感じさせます。

そしてみぞれの目を見て放った「ありがとう」という言葉こそ、二人の想いが永遠に重なることはないことを示しており、同時に依存関係からの脱脚も表しているのです。


このシーンの台本には小道具の描写にさえ「息絶えたようなフラスコ」など文学的な表現が使われており、みぞれの告白の間の希美の心情も「欲しい言葉は返ってこない」というような切ない言葉が綴られています。

どこまでも細かく、繊細に丁寧に作られたからこそこの作品は心に残るものとなったのでしょう。

 

・ハッピーエンド
何度も述べるようにこの物語は二人の少女の悲しい変化を描いていますが、間違いなくハッピーエンドであると言い切れます。
希美は劇中何度も「物語はハッピーエンドがいいよ」「青い鳥はリズの元を去るけど、会いたくなったらまた会いに来ればいいじゃん」「だってその方がハッピーエンドじゃん」と「リズと青い鳥」という作品がハッピーエンドになることを望む発言をします。
二人の想いが永遠に通じることがないとわかり、共に音楽室へ向かうことはなくなった二人。しかし、映画の最後には、希美は校門でみぞれの練習が終わるのを待ち、みぞれを先頭に、二人は「鳥籠」から出ます。

そして初めて映される下校中の二人。希美はみぞれに「追いつくから待ってて」と言い、みぞれもまたそれに「私もオーボエ続ける」と答え、依存から脱脚した二人がそれぞれ自立することを誓い合います。

帰りにどこか寄って帰ろうと話す二人には心からの笑顔が浮かんでおり、この物語が「ハッピーエンド」として描かれたことがわかるんですね。


この先の二人がどうなるかはわかりませんし、もしかしたら卒業後二度と会わなくなるかもしれないですが、確かにこの瞬間、この一瞬を共に過ごした時間だけは間違いなくハッピーエンドで締めくくられたと言えるわけです。

 

・dis joint とjoint
映画の始めに「dis joint」という文字が書かれるのですが、意味を調べたところこれは数学用語で「互いに素」という意味らしいです。劇中の授業風景でも数学教師が本当に一瞬触れていたのですが、この「互いに素」というのは『デジタル大辞泉』によると「二つの集合が共通部分を持たないこと」と書かれていました。つまりこれは決して交わることはない、重なることはないみぞれと希美を暗喩しているものと考えられますが、物語のラストにはこの「dis joint」の「dis」が消され「joint(継ぎ目・連携)」に変わります。二人が交わることはないけれど、互いが互いに手をとって立つことはできる。依存ではなく、共に目標に向かって励むことはできるということを表しているのではないかと思いました。

 

 

○同性特有の関係性
初回限定版ブルーレイに付いていたインタビューでは、「この物語は少年同士でも成り立つ」といったことが書かれていました。思春期の同性同士の曖昧で複雑な関係性が描かれているわけで、そこに男女は関係ないということです。


このインタビューを読んだ時私が最初に思い浮かんだのは、人気本格野球漫画『おおきく振りかぶって』の主人公二人でした。『おおきく振りかぶって』は私が一番好きな漫画なのですが、この物語の主人公二人の関係性も『リズと青い鳥』の二人に近く、共依存からの脱脚を描いたものになります。
こういった同性同士の友情とも恋情とも言い難い、名前のつけられない複雑な関係性に非常に弱いのですが、そういった点でこの二作品は類似作品としてあげることができるのではないかと思います。

 

 

○まとめ
かなりのボリュームとなってしまいましたが、全然まだまだ語り尽くせていません。そのくらいこの作品は素晴らしく、観るたびに新たな発見があり噛めば噛むほど味が出るスルメのような作品です。このような作品は京都アニメーションでは珍しいのでその点で『リズと青い鳥』は京都アニメーションの最高傑作と言っても良いのではないでしょうか。

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Comments from NEMber
Yonnsann
2019-05-04 21:05:22ID:113320

>>のーんのん::さん
ありがとうございます!
本当に素敵な作品なので是非ご覧ください!

のーんのん
2019-05-04 16:27:47ID:113261

これ読んで興味でました。みます。

NEMber who posted this article

ネムログ気になったのでライブドアブログからいくつか移行します。

趣味は読書(特に太宰治)、アニメ鑑賞(特に幾原作品)、京都観光。
京都には足繁く通っているので色んな情報を提供できたらと思います。

また、教育実習、学校教員(少しですが)を経験して思ったことも少し書けたら良いと思います。

現在はwebデザインを勉強中。
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