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「美しき免疫の力」の話③

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これまで2回にわたって複雑な免疫システムの概要とがん治療や自己免疫疾患における免疫を用いた治療法について、ダニエル・M・デイヴィスによる「美しき免疫の力」を基にまとめてきました👇

今回は免疫システムとホルモンの関係についてまとめながら、免疫力を弱化させる原因や強化する方法について考えていきたいと思います。

 

細胞のストレス反応

 

一部のがん細胞は加熱されると、ストレス状態にあるときに提示される「ストレス誘導性タンパク質」を細胞表面に表出させます。細胞は高温、毒物、紫外線暴露などによって損傷を受けると上記の「ストレス反応」を起こすことで、NK(ナチョラルキラー:免疫細胞)細胞はそのその細胞を攻撃します。

特殊ながんの症例を除けばすべての温血動物に、感染時に深部体温を上昇させる(発熱)の能力が備わっています。

体温の上昇は病原体に直接作用することや免疫システムの活性を高めることで身体の感染との戦いを支援します。病原体のほとんどは平熱で繁栄するように進化してきたため、体温が40〜41℃まで上昇するとウィルスの複製率は200分1まで低下します。一方で免疫システムは、発熱によって活動が盛んになり、骨髄から血液に送られる免疫細胞の数は増えて、免疫細胞による受容体タンパク質の産生が促進されるため、より多くの免疫細胞が炎症部分に送られることになり、結果として必要な場所に送り込まれる免疫細胞の数が増えることになります。

炎症によっておこるサイトカインとパターン認識受容体による病原体の検出はホルモンの一種であるプロスタグランジンE2の産生のきっかけにもなり、プロスタグランジンは脳の視床下部に働きかけ、ノルアドレナリンなどの別のホルモンを産生させます。ノルアドレナリンは手足の血管を収縮させ、褐色脂肪細胞にエネルギーの燃焼を促して熱を産生させます。さらにアセチルコリンは筋肉に作用して震えを起こさせます。これらの働きはいずれも体温を上昇させるのに役立っています。視床下部は他に空腹や喉の渇き、眠気などの感覚の他、他人との親密性を求める感情や性的欲求のような複雑な感情をもコントロールしています。

これらサイトカインとホルモンを介して免疫系と神経系は互いに影響しあっており、エストロゲンやテストステロンなどの性ホルモンなどの多くのホルモンが免疫系に関与していることがわかっています。その中でも最大の影響力を持つのがストレスホルモンといわれる「コルチゾール」です。

 

ストレスと免疫の関係

 

ストレスに応答して副腎で産生されるホルモンのうち、免疫システムに特に重要なのはコルチゾールです。コルチゾールはストレスの多い、環境に人間の体を備えさせる働きをもち、例えば体の「闘争・逃走」反応を促します。血糖値を上げ、筋肉の血管を拡張させ、体を瞬時に動かせるように準備します。体がストレス下にあるときに炎症反応のスイッチが入ったり過剰反応を防ぐため、コルチゾールは免疫システムにも作用して免疫反応を弱めてしまいます。コルチゾールは人体に計り知れない影響力をもち、2万3000個あるヒト遺伝子のうちの5分の1がその影響を受けると言われています。

マウスを用いた研究ではマウスの自由を拘束したストレスマウスにインフルエンザウイルスを摂取すると、免疫反応は通常より遅れて現れ、感染した肺に移動する免疫細胞の数やサイトカインの値も低下していました。

ヒトにおいても認知症の配偶者の介護がある群ではインフルエンザワクチン摂取に対する反応は低下することが示されています。またHIV感染患者がAIDSを発症する割合は、その患者のストレス負荷が平均以上である場合、あるいわ社会的支援が少ない場合には2〜3倍に増加しました。

また、エビデンスとしては強度は低いものの、ストレス以外の精神状態も人間の免疫システムに影響しやすいことがわかっています。例えば怒りの感情や攻撃的感情を抱いているときは血中のサイトカインの値が上昇することがあります。これは攻撃性が高まったあとには暴力がつきものなので、免疫システムを高めておくことで傷から侵入する病原体に対処するのに役立っていると考えられています。また、病院スタッフと一緒に喜劇映画を見た糖尿病患者では免疫システムの遺伝子活性が高まっており、笑いが免疫を強化する可能性も指摘されています。

 

免疫システムと概日リズム

 

ヒトの体内ではいくつもの波がそれぞれのリズムでピークを迎えては静まっていきます。午前2時頃に眠りはもっとも深くなり、午前4時半頃に体温が最も低くなり、午前8時半頃に男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が最大になり、午後3時半頃に身体の動きが最も機敏になり、午後6時半頃に血圧が最も高くなります。

このような身体の「概日リズム」は様々な形で私達の健康と幸福に影響を及ぼしています。例えば職場の事故は夜間に起こりやすく、自動車の衝突事故がピークに達するのは午前3時頃であり、夜間になればヒトの注意力が急激に落ちるためだと考えられています。外科手術の術後経過も手術を受けた時間帯によって変わることがあり、午後に開始された手術のほうが患者に術後嘔吐や疼痛がわずかに増加すると言われています。

免疫機能においてもヒトの概日リズムの影響を受けることは知られており、ヒトの免疫システムはヒトにとって自然な睡眠時間である夜間に強い反応を示します。これは免疫抑制ホルモンであるコルチゾールの血中量が夜間には低く抑えられていおり、さらに血液中を流れる多くの種類の免疫細胞の数が夜間に増加するためです。

しかし、少数ながらもいくつかの免疫細胞は逆の動きをすることもわかっており、これはさまざまな時間帯に攻撃を仕掛けてくる病原体に対処するためと考えられています。

このような免疫の反応は実際に、喘息は夜間に発生しやすく、喘息による突然死も午前4時頃が多いことや、関節炎を起こす痛風も夜間に症状が悪化するなどの時間帯により症状が異なるなどの影響を及ぼします。

 

免疫システムと体内時計

 

海外へ旅行に行った際におこる時差ボケは単なる疲労ではなく、身体の体内時計が新たな明暗と休息ー活動のリズムに身体を順応させなければならないために引き起こされます。マウスを使った実験で日照時間のを人為的に8時間早める時差ボケのシュミレーションを繰り返した結果、時差ボケマウスは腫瘍の増殖速度が高まり、生存期間が短くなりました。ヒトの場合も長期にわたる夜間勤務(30年以上)が乳がんリスクの上昇に関連することが示されています。

体内にはいくつか時間を調整する機構が備わっていますが、その中で指揮者のような役割を持つのがマスター時計といわれる視床下部内の約2万個の神経細胞であり、目の奥ある光感受性細胞の情報を受け取って時間を調節しています。

時差ボケの場合は体内のすべての時計が新たな24時間サイクルに順応すれば解消されますが、夜間勤務の問題は食べ物の消化や睡眠など活動のタイミングが変わることで様々な組織・器官で動いている時計に影響がでる一方で、脳内のマスター時計は昼と夜の明暗のサイクルに従い続ける点があり、マスタード時計と体内時計がずれていくことにあります。

体内時計がヒトの免疫にどのような影響を与えるかの研究には宇宙飛行士を対象とした調査がありますが、国際宇宙ステーションで過ごした宇宙飛行士の血液データから多くの免疫細胞で体内分布が通常と異なり、活性化の閾値が変化し、T細胞の反応性が低下していました。

宇宙飛行士は水痘ウイルスなどの潜伏ウイルスの再活性化や皮膚の発疹、アレルギー反応などの症状がでやすく、T細胞の機能低下や血中サイトカインの濃度変化などの免疫システムの変化との関連が示されています。

 

加齢、老化と免疫システム

 

インフルエンザウイルスによる死亡者の80~90%は65歳以上の高齢者であり、その原因の一部は年齢とともに感染に対する抵抗力が衰えることにあります。しかしながら、逆に自己免疫疾患など免疫の過剰反応による疾患も高齢になると大幅に増加するため、年齢とともに免疫の反応性が低下するというよりも免疫システムの不具合が原因と考えられています。

老年期には体内で産生される免疫細胞が減少します。その理由の1つは、免疫細胞を生み出す骨髄幹細胞のDNAに損傷が蓄積し、再生能が失われるためです。さらに高齢者の免疫細胞は、病気の兆候を検出する能力と、傷口や感染現場に向かうための合図になるタンパク質分子に対する反応性が低下しています。

そのため高年者では病原体と健康な細胞・組織を識別する能力が低下して、なかでも、これまで遭遇したことのない病原体を検出する能力がとくに衰えることになります。

免疫システムは遺伝によって生まれながらに固定されたものではなく、年齢を重ねながら適応していくものであり、双子の研究によって免疫システムの大部分は育ち(エピジェネティクス)の影響が大きいことがわかっています。

 

まとめ

 

病原体や怪我による炎症反応は視床下部に働きかけ、ホルモンの分泌により、体温を上昇させる。

体温の上昇は免疫細胞を活性化させることになり、日頃から循環や代謝を保ち、筋肉をつけるなど体温を上げる工夫が必要。

ストレスで産生されるコルチゾールは交感神経を優位にして、免疫反応を弱める。また笑い、怒りなど感情を露わにして視床下部に働きかけることで免疫反応を上げることができる。

概日リズムや体内時計もヒトの免疫反応に影響を及ぼしており、睡眠不足や食事時間や睡眠時間がバラバラな不規則な生活、昼夜逆転などは免疫システムを不安定する。

免疫システムは育ちの影響が強く加齢によって変化しますが、細胞の老化を遅らせる適切な健康習慣(食事・運動・休養)によって免疫機能を正常に維持し、病原体と戦うことができる。

 

以上、3回にわたってヒトの免疫システムについてまとめてきました。

私個人的な経験談として15年ほど前からサーフィンをしてからほとんど風邪などの感染症にかからなくなりました。それまでは年に1回は2〜3日続く発熱を伴う風邪を引いていたのですが、現在では熱が出ても早く寝れば翌日には収まっています。薬もほとんど飲まなくなりました。

おそらく冷たい水に入ることで褐色脂肪細胞が増え、体温が上がり、免疫力が高まったためと思われます。

実際に平熱は35℃台から36.5℃まで上昇しています。本来、ヒトに備わっている免疫の鎧は自分で強化することができます。その辺について書かれた面白い本がありましたので今度ご紹介したいと思います。

本書は免疫学者の歴史的な発見やそのエピソードを中心にまとめられており、研究者にフォーカスが当てられてた類まれな本となっています。ここまでのまとめでも膨大な量となってしまいましたが、まだすべではまとめきれておらず、細かいところでは私の理解も進んでいませんので、ご興味ある方はぜひ本書を手にとってもらえたらと思います。

その複雑な免疫システムのすべてはまだ解明されておらず、現在も多くの分野で研究が行われていますが、今後も有益な情報があれば追記していきたいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

参考図書:

ダニエル・M・デイヴィス 著「美しき免疫の力 人体の動的ネットワークを解き明かす」

 

 

 

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Comments from NEMber
7zoesan
2019-06-13 08:32:55ID:125455

>>ぺぺ::さん
そうですね、自分で免疫の鎧を強化するにはストレスコントロールと睡眠はかなり重要になりますね。
免疫力を高める面白い本がありますので今度記事でご紹介しますね!

7zoesan
2019-06-13 08:30:07ID:125452

>>ちきゅう::さん
多少ですが追記しています。ご意見ありがとうございました。

7zoesan
2019-06-13 07:36:10ID:125440

>>ちきゅう::さん
ご指摘の通りです、申し訳ない。自分でも理解するのが精一杯で自分の考えをまとめきれてないですね。

ぺぺ
2019-06-12 22:59:08ID:125321

適切な健康習慣・・・
まずはここが基本でしょうか?毎日の繰り返しが大事ですね。

ちきゅう
2019-06-12 22:57:22ID:125320

本を読みに来たわけじゃないん、だから

ちきゅう
2019-06-12 22:56:08ID:125319

んー、7ぞえの言葉がひとつーもないねぇ

NEMber who posted this article

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