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「子宮頸がんワクチン」と行動経済学の話

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本日何気なくTwitterをみていると堀江さんのtweetが流れてきました。

tweetで引用されている記事は朝日新聞の医療コラムのものですが、私も昨日、記事を読んでいて同様のことを思いました。

 

写真の記事はワクチンの子宮頸がん予防の効果と安全性を示す研究が多数出されているけど、インフルエンザワクチンより呼吸困難やじんましん、嘔吐といった副反応が起こる確率が高く、安全性についてはわからない点が多い、またコクランレビューではワクチンの予防効果は確実性が高く、重い有害事象のリスクは高まらないと論文を発表しているが、ワクチンの関連企業から資金提供を受けた研究者が研究の評価に加わっていると指摘されている点について言及しており、ワクチン普及に対して積極的ではない論調になっています。 おそらくそうした論調に対して堀江さんは「ひどい」とコメントしたものと考えられます。

さてこの子宮頸がんワクチンとは何か?本当に安全なのか?安全であるのになぜ摂取が進まないのか?これらの点に関して行動経済学の観点から考えてみたいと思います。

 

子宮頸がんワクチン(HPV)とは?

 

国内で子宮頸がんに罹患する人は年間で10,000人で、約2,900人が子宮頸がんが原因で亡くなっています。

子宮頸がんの多くはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因となります。HPVの主な感染経路は性的接触ですが、HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉の経験がある女性のうち50%~80%は、生涯で一度はHPVの感染機会があると推計されています。しかしながら、HPVに感染しても多くの人は無症状のまま一過性の感染に終わり、病気を発症することはありません。HPVが持続的に長く感染し続けるごく一部の女性において、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成・上皮内がんという前がん病変を経て、数年程度かかって子宮頸がん(浸潤がん)が発生することがあります。原因がウイルスの感染によるものであるため、その感染予防にはワクチンが有用であり、現在使用可能なHPVワクチンは頸がんの約6~7割を予防できると考えられています。そのため、HPVワクチンは2013年に予防接種法に基づいて国の定期接種となり、市町村が対象者(小学6年生から高校1年の女子)に個別に通知して摂取を呼びかける「積極的勧奨」 になりました。しかし、相次ぐ接種後の健康被害によって「積極勧奨」は中止されました。

現在も多くの自治体でワクチン接種の費用を全額補助しており、希望者は摂取を受けられる状況ですが、2016年に摂取した対象者は全体の0.3%とかなり少ない状況になっています。

 

ワクチン接種と行動経済学

 

WHOも積極的勧奨を再開しない日本の現状に懸念をいだいており、勧奨再開を求めています。

ワクチン接種後の副反応についてのクローズアップの仕方や報道の在り方によって、HPVワクチン対象年齢の娘を持つ親たちは副反応(疑い:健康被害や症状がワクチンによるものとは断定されていない)を過大に評価して、ワクチンの有効性を過小に評価している現状があります。

ちなみに私の妻に娘のHPVワクチン接種について問うたところ「とんでもない、副反応が出るかもしれないのに受けさせる意味がない」と言われました。

妻は報道でしかHPVワクチンについて知らないので当然の反応ですし、多くの対象年齢の娘を持つ親も同様の反応になるではないでしょうか。

これまでに報告されている重篤な副反応(疑い)が1接種あたり0.007%しかなく、日本でのHPVワクチンによる子宮頸がんの予防効果は60%であることを伝えるとほぼすべての親が副反応の出る確率0.007%という数字は小さいと感じるようです。しかし、その数字が0ではないことをかなり重要視しており、まさに自動車事故より飛行機事故に怖さを感じるのと同じ現象が起こっていることが調査からわかりました。

また、子宮頸がん予防効果期待値約60%という数字も、100%ではないから、摂取していても必ず誰かは子宮頸がんに罹患してしまうと考えており、数字ほどには予防効果を感じられていないこともわかりました。

これは行動経済学でいうところのプロスペクト理論(詳しくは医療現場の行動経済学の話②を参照)における確率荷重関数の概念で説明することができ、確率荷重関数の推定結果の多くは、30~40%においては客観的確率と主観的確率はほぼ一致するが、それよりも高い客観的確率の範囲では、主観的確率は客観的確率よりも低くなり、低い客観的確率の範囲では、主観的確率は客観的確率よりも高くなることが報告されています。

そこで、重篤な副反応(疑い)に関し、「1接種あたり99.993%の人は接種後も重篤な副反応(疑い)は生じず暮らしている」とフレーミングを変えて提示したところ一部の人は予想通りに「安心して接種できる」と反応したが、逆に0.007%に副反応を呈した人の存在が気になり、少なからず心配になる親の存在がありました。

この研究では多くの親がHPVワクチン=報道にあった副反応の症状のことしか頭に浮かばず、心配が拭えないとのことでした。子宮頸がんの罹患者が増えている現状や先に述べたワクチンの有効性、WHOの声明などがメディアで取り上げられたことはほとんどなく、副反応(疑い)が繰り返し報道されていたことを考えるとこれは当然の結果と言えます。

これらの反応は行動経済学でいうところの利用可能性ヒューリスティックであり、メディアの報道によって目立った情報のみが意思決定に働いてしまっており、インターネット調査では95.2%の人が副反応(疑い)に不安を感じると回答しています。

また、ワクチンの副反応は接種後の一定期間に起こると考えられますが、予防できずに発症する子宮頸がんは数年、数十年後のことであり、時間割引率や現在バイアスなどの時間選考の影響も考えられます。

さらには、親自身がHPVワクチンの接種を決定して副反応が生じた場合に、自分の意思決定を後悔してしまうことを極度に恐れているためとも考えることができます。

それらの結果として、ワクチンを接種をしないという選択をすることにより、ワクチン接種をして起こる副反応(疑い)という損失が確定することを避け、子宮頸がんという大きなリスクに直面するということ結果的に選んでいる状況があります。

意思の変容は可能か

 

ワクチン接種における意思決定は利用可能性ヒューリスティック、現在バイアスによって起こっていることがわかります。この場合、説得の力のある人材(パターナリズムの利用)によって正しい情報を伝えることで、親の利用可能性ヒューリスティックを上書きしていくことが必要です。そのため堀江氏の本やtweetは有効になる場合があると思います。

また、現在バイアスの修正には参照点を状況に即したものに意識的に変えていくことが必要です。

意思決定には「現在」と「将来」の視点において、長期的な利益を確保するという発想を身につけるよう意識することが重要であり、ワクチン接種においては子供たちの未来、日本の未来の視点からワクチン接種の是非について報道してもらいたいと心から願います。後悔を避けるために極端にリスク回避的選択をしたり、慎重になりすぎて決断のタイミングを逸したりする方が、のちの後悔を引き起こす可能性が高いということを親として忘れてはいけません。

 

私も娘を持つ親としてこの問題から目を背けてはなりませんし、近い将来ワクチンの接種について、家族で話し合う時間を持つ必要があります。

そのときの選択に後悔をしないよう、しっかりと情報を集め、判断をしたいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

参考図書、サイト

 

厚生労働省HP 子宮頸がん予防ワクチンQ&A

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html

 

大竹文雄、平井啓 著、「医療現場の行動経済学 〜すれちがう医者と患者〜」

 

 

 

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Comments from NEMber
やってみよう
2019-06-15 13:55:28ID:125937

「親自身が接種を決定して副反応があったときに、自分の意思決定を後悔してしまう」
とありますが、報道側にも同じような感じがあるんでしょうね。
接種を推奨して、万が一問題が生じたときにどうしようと思って、批判側にまわってしまう。
問題だと思います。

7zoesan
2019-06-14 23:46:14ID:125839

>>ゆきんちょ::さん
子宮頚がんの原因はウイルス感染によるもので、ほとんどは性交渉が原因となりますが感染していても癌化しないものがほとんどです。副反応がでる確率は非常に低いですが0ではありません。ワクチンの予防効果も6割程度です。
しかしながら子宮頚がんになると知人のように子供を授からなくなる可能性もあり、致死率も高いため、副反応による症状と将来的なリスクを考えればワクチン摂取はした方が良いと私は考えています。

ゆきんちょ
2019-06-14 23:15:13ID:125823

知人が子宮頸がんで摘出手術をしました。子供が一人もいないままです。旦那さんが原因ではないかと言っておりましたが結局わからずじまい。
ワクチンは接種したほうがいいのでしょうか?
副作用はとても苦しいらしいですので悩むところですね。

7zoesan
2019-06-14 12:59:05ID:125702

>>りゅーげん::さん
そうなんですが副反応とワクチンの因果関係は特定されておらず、報道のような重篤な状態になるのはパニック発作や疼痛過敏のような個人的な因子も関係しているとの話もあり、実際はもっと確率が低いかもしれません。いずれにしてもリスク許容と相対的効果を比較しなければいけませんね。

Radio NEMber
2019-06-14 12:44:52ID:125700

罹患する確率、副反応の確率、副反応と思われる症状にもワクチンそのものとの因果関係不明な物、。そういった数字は出るんでしょうけど人間には数字で割り切れない感情がありますからね。テレビなんかで映像流れたりしたのでアレを見て怖いって感じた人はいるでしょう。

確かに予防接種で防げる可能性のある「ガン」そのベネフィットをどう捉えるか。接種するもしないも自由ですし。

婦人科検診をマメに受けて早期発見早期治療って手立てもありますし。

僕に娘でも居たら考えもまた変わるかな。

りゅーげん
2019-06-14 11:24:53ID:125690

日本人口1億2620万人 。そのうち女性人口は半分として子宮頚がんになる人数の1万人は全体の0.0158%
一方で子宮頚がんワクチンは期間を空けて3回打つ必要があります。重篤な副反応が出る確率は1人あたり0.007%×3=0.021%

単純に比較すると子宮頚がんになる確率よりも子宮頚がんワクチン接種で重篤な副反応を示す確率が高いですかね?

7zoesan
2019-06-14 08:27:04ID:125663

>>やそ::さん
産婦人医!身近にご相談できる環境があるのはいいですね。正しい情報によって多くの方が救われることを願います。

7zoesan
2019-06-14 08:25:40ID:125662

>>Radio NEMber::さん
そうなんですが一度でついたイメージというのはなかなか取れないものですね、まるでNEMのようです。

やそ
2019-06-14 06:07:40ID:125647

産婦人科医やってる親が絶対に受けるべきだって言ってました。
ので、娘たちには受けさせるつもりです。
ワクチン打つだけで防げるがんなんてほんの僅かしかないのに。

トロッコ問題とも似てるのかもしれません。
10000人とか多くの人の命を確実に救う代わりに、1人の犠牲が出るかもしれないときに、1人の身近な人の副作用を取るか、10000人の命を取るか。

Radio NEMber
2019-06-13 23:55:30ID:125599

ホントに副反応が高頻度だったら、昔の日本脳炎ワクチンやMMRワクチンみたいに定期接種から外れると思いますけどね。積極勧奨はしてなくても希望者は法定接種になりますし。

NEMber who posted this article

北海道で理学療法士兼スポーツトレーナーとして活動しています。
これまでの臨床経験から得た気づきや学びに関すること、
日々の読書の備忘録など、徒然なるままに健康と幸福と自身の人生観についてアウトプットしていきたいと思います。
NEMはあまり関係ないことが多く、申し訳ありません!!

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