Wait a moment...

【アニメ】『さらざんまい』最終回感想・考察

nem0.85xem (1)
683
0
2019-06-22 10:46:33
【アニメ】『さらざんまい』最終回感想・考察

大団円で終わりましたね『さらざんまい』。個人的にこの作品の何がすごかったと言いますと、古参幾原作品ファンを全力でぶん殴ってくる感じでした。

 

幾原作品の革命を目の当たりにしたように思えた本作品について、今回改めて感想と考察を述べたいと思います。

 

 

○主人公の入れ替わり

個人的に今回新しいなと思ったのが、完全に主人公が一樹から悠に入れ替わっていたことです。何をもって主人公とするかにもよりますが、最終回にあれだけ悠メインで描かれたらあのアニメを初めて観た人からしたら悠が主人公と言っても過言ではないですよね。

 

しかし振り返ってみると確かに悠だけが他のキャラと比べて救いがありませんでした。大切な人を失ってチャンスも与えられず行き場を失っていた彼にとって残されたのは一樹と燕太とのつながりだけ。それを失ってしまえば本当に何もなくなってしまう。

 

作品上最も失ったものが多かった悠だからこそ「つながり」というメインテーマを重みのあるものとして背負う役割になったのではないかと思います。

 

 

○あったかもしれない未来

物語中盤では三人のあったかもしれない未来が語れると同時に怒涛のサブタイ回収がされます。そこには鳥肌が立ちました。

 

一話以降ついに言及はされませんでしたが、ケッピの記憶操作などもここに関係してくるのでしょう。一話で一樹に降った「ア」も、つながりを取り戻すための一つの可能性、あったかもしれない未来の一つであり、どんな未来であれこのつながりは決して離さないという意味だったと考えられます。

 

 

少年院から帰ってきた悠は最後にまた二人と繋がることができ、17歳になった三人が楽しそうにサッカーをしている様子が描かれます。しかし恐らくそれすらもあったかもしれない未来、一つの可能性であり、これから彼らにはやっぱり絶望も希望も両方降り注ぐのでしょう。

 

 

しかし、この物語で語られたものは絶望も希望もあるからこそ、人は人と繋がれる。どちらか一方ではなく、絶望を受け入れそれでも尚欲望を手放さなかった者こそ希望を手にして愛する者と繋がれる。ということだと思うので、彼らの未来がこれからどうなっても、「つながり」さえ諦めなければ大丈夫だと思えます。

 

 

○幾原作品の革命

すでに多くの幾原ファンが言及していることですが、やはりウテナからずっと幾原作品を観て育ってきた私たち古参ファンにとって『さらざんまい』は幾原作品の革命と言わざるをえません。


燕太の「自己犠牲なんてダセェ」発言から、極端にメタファーの少ない直接的な描写、罪を償い未来に生きる「つながり」エンド、文句なしの大団円と、今までファンがウテナやピンドラ、ユリ熊でしてきた考察全てをひっくり返すような、正に「革命」がこの作品で起こりました。

 

幾原監督は以前インタビューで「『さらざんまい』は耽美と言われないように作っている」といったことをおっしゃっていましたが、その言葉通りかつての儚く美しく気高い少女達とは違ってパワフルで勢いがあり、毎回笑ってしまうほど全力な少年たちが描かれていました。やはりここからも幾原監督はこの作品で何か根底をひっくり返そうという「革命」を狙っていたのでしょう。

 

とはいえやはり『さらざんまい』にも今までの作品の色を感じます。特に今までの作品で近いと思ったのが『劇場版 少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』。

 

 

劇場版ウテナはテレビアニメ版とはまた別の世界線の話となっており、色々な見方ができる作品です。特に演出はテレビアニメ版以上にぶっ飛んだものとなっており、最後にはウテナが車になってアンシーがそれに乗り「世界」から脱出するといったものでした。

 

その勢いたるや一度観ただけでは絶対わからないであろう強烈な印象を与えたものですが、今回の『さらざんまい』にはそれに近いものを感じました。突然の歌とダンス、謎の生物、勢いに任せる中に確かに存在する大きなメッセージと、その様子、特に幾原監督が全ての製作工程に関わった最終回には劇場版ウテナを感じずにはいられませんでした。

 

しかし劇場版ウテナと決定的に違うのは、「世界」から脱出し「絶望もあるかもしれないが自らの意思でそこに向かう」という決意で物語に幕を降ろしていたウテナに対し、「絶望の中でも欲望を諦めず掴んだ未来」がはっきりと描かれていたところです。

 

その後の笑顔の彼らを最後まで描いたことがこれまでの幾原作品との似て非なるところなんですね。

 

 

 

○まとめ

いろんな意味でこれまでの幾原作品に革命をおこし多くの視聴者に衝撃を与えた本作品。恐らく古参ファンからすると賛否が別れると思いますが、私はこのエンドは大変素晴らしく思いますし、とても楽しませてもらった作品でもあったので大満足です。

 

リアルタイムで幾原作品の革命を目にすることができたのもたいへん嬉しかったです。

 

また幾原監督が新しい作品を生み出すその日まで楽しみにしたいと思います。

 

それではみなさん、グッドサラ〜ック。

この記事を書いた人
趣味は読書(特に太宰治)、アニメ鑑賞(特に幾原作品)、旅行。 エンジニア見習い。 日々の色々を共有しながらnemのことについても学びたいと思います。