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【古事記入門】その52 君が行き け長くなりぬ

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允恭天皇の御子たちについては前回で整理しましたが、今回の主人公は第1子である木梨の軽皇子(かるのみこ)と、第5子、軽大郎女(かるのおおいらつめ)です。

軽の大郎女は、衣を透かして輝くばかりに美しいということで「衣通(そとおし)の郎女」とも呼ばれていました。

なんとこの美貌に、実の兄である軽皇子がメロメロになってしまいます。

 

妻問婚

本文に入る前にちょっぴり解説を入れようと思います。
当時、異母きょうだいの結婚はOKですが、同母きょうだいの結婚はNGとされていました。

この理由については諸説あるようですが、私は婚姻形態が「妻問婚」だったからじゃないかと思っています。

 

「妻問婚」というのは、夫婦が同居せず、男性は夜中に女性のところを訪れて一緒に寝て朝帰る、生まれた子供は女性の家で育てる、という形の結婚です。

だから今の感覚での「結婚」というのとも違って、「婚(よば)ひ」=ワンナイトラブが成立すれば夫婦である、という感じです。

子供は妻の家で育てるので、母が同じなら同じ家の子、母が違えば違う家の子という感覚だったのだと思われます。

 

軽皇子の悲恋

それでは本編に入っていきますが、軽皇子と軽大郎女は母親が同じなのでアウト、周囲からは祝福されない関係です。

 

天皇崩りまして後、木梨の輕の太子、日繼知らしめすに定まりて、いまだ位に即きたまはざりしほどに、その同母妹(いろも)輕の大郎女に姧(たは)けて、歌よみしたまひしく、

あしひきの 山田を作り
山高み 下樋を走(わし)せ
下娉(したど)ひに 我が娉ふ妹を
下泣きに 我が泣く妻を
今夜(こぞ)こそは 安く肌触れ

 

允恭天皇が崩御した後、長男である軽皇子は後継に内定していました。
しかし即位をしないうちに、軽皇子は妹である軽大郎女と関係を持ってしまいます。

山に田んぼを作ったら
山は高いから、下樋(地中を通す水路)を通そう
その下樋を流れる水のように、こっそりと君のところへ通って
泣くほど恋しがった私の妻と
今夜こそは、安らかに肌を触れ合おう

 

また歌よみしたまひしく、

笹葉に うつや霰の
たしだしに 率寢てむ後は
人は離ゆとも

うるはしと さ寢しさ寢てば
刈薦(かりごも)の 乱れば乱れ
さ寢しさ寢てば

 

笹の葉に霰が降って「たしたし」と音がする
たしかに、添い寝した後に、相手が離れていってしまうとしても

愛しいと思って、一度だけ添い寝することができれば
あとは散り散りに乱れてもかまわない
添い寝することができれば

 

2首めの歌なんかは切実ですよね。

「君がいずれ離れていってしまうとしても(あるいは運命に引き裂かれるとしても)、今宵だけ一緒にいられたら」という普遍的な意味にも読めるし「人心が離れていって、世の中が乱れたとしても構わない。大事なのは君だけだ」という、軽皇子個人の心境としても読めます。

 

ここを以ちて百の官また、天の下の人ども、みな輕の太子に背きて、穴穗の御子に歸(よ)りぬ。

ここに輕の太子畏みて、大前小前の宿禰の大臣の家に逃れ入りて、兵を備へ作りたまひき。

 

この事実を知った役人や民衆の心は軽皇子を離れ、三男である穴穂皇子のもとに集まります。

これに危険を感じた軽皇子は、部下である物部大前・小前兄弟の家に逃げ込みます。

穴穂皇子もまた、兵を集めて大前小前の家を包囲します。

 

「我が天皇の御子、同母兄の御子をな殺しせたまひそ。もし殺せたまはば、かならず人咲(わら)はむ。僕れ捕へて獻らむ」とまをしき。ここに軍を罷めて退きましき。かれ大前小前の宿禰、その輕の太子を捕へて、率ゐてまゐ出て獻りき。

 

物部大前・小前は穴穂皇子に「わが天皇の御子様、お兄様を殺してはいけません。そんなことをすれば人から笑われます。私がつかまえて差し出しますから、どうか」と言ってその場は引き取ってもらい、軽皇子を説得して一緒に朝廷へ出頭しました

 

かれその輕の太子をば、伊余の湯に放ちまつりき。

 

軽皇子は、愛媛の温泉地(現在の道後温泉)へと流刑になりました。

 

君が行き け長くなりぬ

残された軽大郎女は、流されていく軽皇子の身を案じて歌を送っています。

 

その衣通の王、歌獻りき。その歌、

夏草の あひねの濱の
蠣貝(かきかひ)に 足踏ますな
明かしてとほれ

 

あいねの浜(所在不明。夏草は「ね」の枕詞)の
カキの貝殻を踏んで、足を怪我しないように
夜が明けてからお旅立ちなさい

 

かれ後にまた恋慕に堪へかねて、追ひいでましし時、歌ひたまひしく、

君が行き け長くなりぬ
山たづの 迎へを行かむ
待つには待たじ

 

しかし結局は離れているのに耐えられなくて、軽大郎女も伊予まで追いかけて行ってしまいます。その時に詠んだ歌が

あなたが行ってから、ずいぶん時間が経ちました。
迎えに行きます。
もう待てないわ

 

 

『万葉集』では、仁徳天皇の皇后イワノヒメの歌として

 

君が行き け長くなりぬ
山たづね 迎へか行かむ
待ちにか待たむ

 

が収録されています。

こちらは「出かけてから帰りが遅い仁徳天皇を連れ戻しに行こうかしら、おとなしく待っていようかしら」というような意味で、やはりヤキモチ焼きのイワノヒメらしい歌になっています。

 

古代の歌はあくまで人が口ずさんで広まるものだったので、その過程で細部が変わったり、有名人が作ったことにされちゃったりが普通にありました。
したがってどちらがオリジナルなのか、どちらもオリジナルでないのかはハッキリとは分かりません。

 

 

かく歌ひて、すなはち共にみづから死せたまひき。

 

軽皇子と軽大郎女は、再会すると共に命を断ってしまいます。

このへんの心理描写がないので、どうして死んだのかがよく分かりません。
道後温泉で恋人とのんびり水入らずなんて、かなりうらやましい気もしちゃいますが。

やはり今後の展望もなくこんな田舎で暮らしていてもしょうがないと思ったのか、あるいは幸せの絶頂で死んでしまおうと思ったのか、のちのち禍根が残ってもよくないので死んでくれと朝廷から圧力があったのか・・・

 

 

軽皇子を討った穴穂皇子は、第20代 安康天皇として即位します。次回はその話。

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Comments from NEMber
やそ
2019-06-27 20:53:19ID:128452

家とは何か。ってところも昔からの変遷とか考えるとなかなか面白そうです。

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