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「家造りの人生論:②土地探し」

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2019-07-02 21:30:12
「家造りの人生論:②土地探し」

前回、「家造りの人生論①」では、住宅雑誌をみて気になった建築士に直接連絡してアポイントを取ったところまでお話ししました。

本日はその続きと土地探しについてお話していきます。

前回の記事👇

 

設計事務所への訪問

 

私達は少し緊張しながらもワクワクした気持ちで建築士の設計事務所を訪ねました。

事務所は札幌のおしゃれタウン円山のマンションの一室で、女性の建築設計士(以下先生)と男性スタッフ、アシスタント、猫(部長)の3名+一匹が仕事をする小さな部屋でした。部屋には雑然とおかれた住宅に関わる素材や雑誌、住宅模型があり、打ち合わせ用に大きな無垢材のデスクとアルネヤコブセンのセブンチェアが置いてありました。

突然の訪問も関わらず、その日だけで2時間近くも相談に乗っていただき、家造りにかかる費用や建てたい家と土地の探し方、先生が考える家造り論など、私達の不安が見透かされていたと思うほど私達に必要かつ的確なお話をいただきました。

具体的には先生に依頼したときの設計料は住宅価格の1〜2割(こちらの先生は1割)、この事務所で実際に建築した住宅の価格帯(坪単価=70〜80万ぐらい)や住宅ローンや土地購入、その他諸々にかかる費用(保険料や土地改造や地鎮祭費用など、別に150万程度が必要)、住宅の形による費用の違い(壁の数によって価格が変わる、四角い箱型が一番安い、家は小さくても狭小割増がある、狭い土地で木造3階建は構造上危険のため、その場合は一階RCにする、RCは頑丈だけど坪単価も高く、資産価値も上がるので固定資産税も高くつく)などなど。

そして、居心地の良い空間を作るためには、家の幅は3.6mを切ると途端に居心地が悪くなってしまうため、土地の間口は最低でも4.5m以上欲しい(土地境界の左右50cmは最低でもあけなければならないため)、広さよりも高さを含めた空間や目線の広がりで考えること、道路に対して横に広く開いた土地は、人通りに配して目隠しや設え(ハイサイドの窓や塀が必要になること、素材(無垢材や塗り壁)、アウトドアリビング(庭)との関係性、借景を含めた周りの環境について、四季の違いによる光の取り込み方と熱効率の関係などのお話があり、これにより私達が探す土地の基準が少しづつ見えてきました。

さらに私達の住宅にかける予算や家に望んでいることなどを簡単に聞き取った上で、どのような土地を探せばよいのかの具体的なアドバイスをいただき、先生の知り合いの不動産屋さんにも土地探しを手伝ってもらうとのことで初回の訪問は終了しました。

 

土地探し

 

初回の訪問で得た内容から、私達にとっての「家」とは何か、そこでどういう時間を過ごしたいのか、そんなことを話し合いながら、どこに住みたいのか、どれぐらいの予算をかけることができるのかを具体的に考えていきました。

そして得た結論は、当時近くに住んでいた私の母親は一人暮らしで身体も健康とは言えず、近い将来、母の介護が必要になる可能性があるため、母の住むマンションからはあまり離れない場所、かつ共働きで妻は車の運転ができない(したくない)ため、公共交通機関の駅が近く(徒歩10分圏内、当時は娘がまだ小さく、保育園の送迎は妻が行っていた)、お互いの通勤には30分以上かからない場所(子育てや家族の時間、家で過ごす時間の確保を最優先)として、地図上に互いの職場と母の住むマンションに点を打って、それぞれの点からコンパスで半径3kmの円を書きました。

3つの円が重なったところが最も住みたい場所で、第一希望の場所、2つの円が重なったところが第2希望、1つの重なりの場所を第3希望の場所として、それぞれの土地購入費用の予算を立てました(第一希望であれば土地購入にかけれる費用のMAXまで可、第2希望であれば土地購入費用の80%までなど)。

山と街の際は自然も多くいいのですが通勤に時間がかかること、妻が虫が苦手なこともあり優先順位は低くしました。

何よりも共働きで家にいる時間が少ないからこそ、素敵な空間でゆっくりと過ごしたい。家事も固定費の支払いもできるかぎりミニマムして、心に負担掛けることなく過ごしたい。そんな理想の家の形が少しづつ見えてきました。

ですので、建物にかけることができる金額の最大値はローンを組んだときのボーナス払いなしの月々均等払いで当時住んでいたアパートに払っている家賃と同等となる金額をとし、現在の貯金とこれから家が建つまでの貯金額によって設計料と保険料の支払いが可能かを検討しました。土地代については親からの援助である贈与税特例(住宅や土地購入における贈与で無課税となる)と二人の個人的な貯金を合わせて買える範囲で予算を作りました。

建築予算はギリギリのかなり厳しいものでしたが、そこを甘く見積もってしまうと、検討段階でやりたいことが出てきたときの余力がなくなってしまい、選択の余地がなくなる可能性もあったためかなり絞ってつくりました。

以上から、緑や自然の借景を得るなら都市と山の際にある土地で40坪〜50坪、駅徒歩圏内の都市であれば26坪以上50坪未満(予算の関係上)、間口は最低4.5m以上で奥行きは10m以上、庭から住宅に効率よく太陽光を届けるために北、東向に道路と接する土地、これらの条件を満たす土地を探すことにしました。

主に使っていたサイトはYahoo!不動産で、上記の条件と予算を指定して検索するとヒットするのは10件程度です。週に1回は必ずチェックするようにしていました。めぼしいものがあれば、実際に土地を見に行って、雰囲気や周りの環境をチェックします。そんなことを繰り返しながら土地を探していました

 

難航する土地探し

 

土地探しは思った以上に難航しました。土地を探しながら、本当に建築家と家を建てるのか、素材が一緒であれば他の工務店でも居心地の良い家は作れるのではないだろうか、自分たちが背伸びしているのではないか、家を建てる予算はギリギリであって、並行して貯蓄を増やすように切り詰めた生活もしていたため、他の方法(他の住宅メーカーや工務店)で居心地の良い家が建てられるのかも検討を重ねていました。

そして、初回の訪問から数ヶ月が過ぎたとき、先生から連絡がありました。

 

「面白い土地あったから、事務所おいで」

 

こうして2回目の訪問が実現しました。

先生が見つけてくれた土地は札幌市の中央区の山鼻地区で、早くから開拓が始まり古い商店街やおしゃれなカフェなどが立ち並ぶ雰囲気のある土地でした。

市電通りにほど近く、市電の駅から徒歩6分と街中へのアクセスも良く、かなり理想的な土地でした。

私たちの基準では2つの円が重なる第2候補の土地であり、私の職場は遠くなりますが妻の職場、子供の保育園へはバスで最寄りの駅まで着きます。母親のところへも車で10分程度です。

土地は間口5m弱、奥行き20m弱のいわゆる「うなぎの寝床」の26坪で前面道路が4mの土地でした。土地価格はこの立地でも前面道路の狭さと、間口の狭いうなぎの寝床のおかげで予算を切る破格でした。

そして、先生がこの土地ならこんな建物が立つよといったラフスケッチを描いてくれました。

土地は狭いため、細長く、1FがRC構造の3階建てのプランです。横幅も心地よい空間を確保できるギリギリの3.6mでした。小さい庭を囲むような細いコの字型になっており、リビングは広めのデッキテラスと隣接しており空間的な広がりがあります。これを元に自宅に帰って検討をすることにしました。

実際に土地をみて、環境の雰囲気、近くのスーパーやコンビニ、学校なども調べます。

雪捨て場は確保できるか、年取ったときに3階建はきつくないか、様々な不安要因はあるものの、スケッチを見れば見るほどに夢は広がり、そこで過ごす自分を想像してテンションが上がります。

 

「よし、決めた」

 

先生に連絡をいれ、もしラフスケッチ通りに建てたらどれぐらいの価格の建物ができるのかを大まかに見積もり出してもらうようにお願いをして返事を待ちます。

数日後、

 

「予算以内に収まりそうだよ!」

 

という連絡を受けて、事務所を再訪し、予算を確認しました。その上で私たちは土地を買う決意を伝え、土地の仮押さえをお願いしました。

土地が見つかって1カ月、ついに土地が手に入る、家を建てることができる、スタートラインに立てるんだ。

はじめての大きな買い物にドキドキしながら連絡を待ちました。

そして…

 

「タッチの差で土地が仮押さえられていた」

 

「え…?」

 

私たちの土地探しは振り出しに戻ったのでした。

 

その後の土地探し

 

ほんの数日の差で土地に巡り会えなかった私達はその後も引き続き土地を探し始めますが、明らかにテンションは下がっていました。その後は2つぐらい土地が見つかり、一度は先の土地同様にラフスケッチまでたどり着いたものの、前回のプランと立地を超えるものはできず、明らかに家造りに対してトーンダウンしていました。

私達の出した土地の条件では、狭小地、変形地、旗竿地、前面道路が極端に狭いか、私道である、土地から道路へのセットバックがあるなど何かと問題のある土地しか出てきません。たまに条件に見合う土地も他工務店の建築条件付きばかりです。

「土地はめぐり合わせ」、うまくいかないときは縁がなかったと思い、無理に出会おうとしてはいけない。そう自分たちにいい聞かせながら、ちょくちょく土地サイトを覗いたり、先生のイベント(北海道の建築家が集まる住宅展や展示会など)に顔出したりと、家造りの火が消えない程度に関わりながら過ごしていました。そして、気づけば最初の訪問から2年の月日が経っていました。

そして、久しぶりにyahoo!不動産を開いたときに見知らぬ土地を見つけます。

札幌中心部まではJRで10分圏内で最寄りのJR駅から徒歩5分、土地は五角形の変形地でしたが住宅を建てるのに十分な広さがあります(※建築家と建てるには十分な広さ、一般メーカーの企画住宅は建たない大きさ)土地予算は若干オーバーしているものの前面道路幅は6m、建築条件はなく、坪単価は同地域の土地に比べ1-2割安いです(変形地のため)。ちょっと予定より高いけど一応見せておこうと、家造りに対してトーンダウンしていた妻に知らせると、一応、見てみようかということで実際に土地ある場所まで足を運びました。

思ったよりも土地の雰囲気は良く、JR近くですが高架になっており音は気になりません。駅まで徒歩5分と書いてありましたが実際に歩いてみると2分で駅につきました。

開口も南東向きで光の入り方も申し分ないように見えます。

 

「ちょっといいかもね」

 

ここにどんな建物がたつのかを検討してみるため、再度先生に連絡を入れました。

 

「先生、ちょっと面白い土地を見つけたのですが・・・」

 

果たしてここが運命の土地なのか・・次回に続く。

 

その後の小話

 

さて、最初に出てきてタッチの差で逃した土地ですが、その後に訪れて見ますとしっかりと家が建っていました。あんな変な土地に建てる人が他にいるなんて・・・と思っていましたが、外観もかなり面白いデザインです。

後に雑誌を見ていたときに、その家を建てた人が北海道の建築家「五十嵐 淳先生」の作品だとわかりました。

http://jun-igarashi.com/works/067Syumitsu.html

当時は建築家のHPや雑誌を読み漁っていたので、札幌を車で走っていれば「あ、あれ〇〇先生の建てた家だ」なんてわかるぐらいになっていました。やはり変な土地は建築家しか建てないのだと思ったのでした。

 

Comment
きなこ
きなこ
2019-07-03 22:32:11ID:130107

面白い❕
自分が家を建てるような感覚で臨場感があるのだ💨
次回も楽しみ(^^)/

7zoesan
7zoesan
2019-07-03 08:16:22ID:129980

>>うぇんじにあ::さん
ちょうど怖い中島地区との境目に位置して、心配もありましたが、場所的は住みやすそうなところでした。地盤も札幌では数少ない良好な土地ですね。

7zoesan
7zoesan
2019-07-03 08:14:35ID:129979

>>matsuno@漆黒の::さん>>Radio NEMber::さん>>ぺぺ::さん
いつも見てくださりありがとうございます。家造り一つですがかなり時間をかけて色々と考えるきっかけになりました。また、よろしくお願いします。

うぇんじにあ
うぇんじにあ
2019-07-03 07:51:50ID:129974

家探し、面白いですね^^ありがとうございます^^

山鼻の土地、惜しかったですね・・・・

僕、山鼻のあたりでバイトしていました、学生の頃・:*+.\(( °ω° ))/.:+確かに住宅も多くて住みやすそう^^

ぺぺ
ぺぺ
2019-07-02 23:34:38ID:129890

ドキドキですね。
次回も楽しみです。

Radio
Radio
2019-07-02 23:20:19ID:129876

夢の片鱗見させていただきありがとうございます😊

matsuno
matsuno
2019-07-02 22:27:49ID:129855

読んでいてワクワクしますね!
いろんな思考が垣間見れて楽しいです!

7zoesan
7zoesan
2019-07-02 21:55:30ID:129821

>>和泉::さん
書いていると超絶長くなってしまい、お時間取らせて申し訳ありません。
読んでいただいて光栄です。
少しづつですがまたよろしくお願いいたします。

和泉
和泉
2019-07-02 21:48:10ID:129817

いいですねー! 読んでるとなんだかドキドキしてきました。

高い買い物だからこそ、そこに想いが募るものがありますものね。
次も期待しています!

この記事を書いた人
北海道で理学療法士兼スポーツトレーナーとして活動しています。 これまでの臨床経験から得た気づきや学びに関すること、 日々の読書の備忘録など、徒然なるままに健康と幸福と自身の人生観についてアウトプットしていきたいと思います。 NEMはあまり関係ないことが多く、申し訳ありません!! ツイッターもはじめましたので、よかったらフォローお願いいたします。