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ゼムゼムの怖い話『三夜:真夜中の訪問者』

nem115xem (12)
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2019-09-06 01:57:23
ゼムゼムの怖い話『三夜:真夜中の訪問者』

 

※この物語はゼムゼムが体験した出来事を記録したものである。脚色できるほどの文才力はないため淡々と書き残しています。

 

こんばんわ。

 

残暑ですね。

網戸を通して肌をなでる夜風が秋を感じさせます。

 

一夜目二夜目と楽しんでいただけましたか?

いよいよ今宵が最後のお話。

 

 

 

 

三夜目:真夜中の訪問者

 

『こんばんわ』

 

真夜中に外を出歩くことはありますか。

暗くなるまで働いて夜道を帰ることはありますか。

 

車、バス、電車が普及し夜でも誰かが起きて活動を続けている。お店の明かりや街灯が当たり前のように道を照らしている。そんな現代社会。

 

私は夜に出歩く時には必ず懐中電灯を持って歩きます。可能であれば誰かと行動しています。街灯によって作られた明暗の境は曖昧でその先に何かを見えたり、その先から声や音が聞こえたら怖いので何かに気づいたら足早にその場を離れるようにしています。

 

そうそう。昔おばあ様から教えられたのですが、「挨拶はおまじない」なんですって。祖母の実家は田舎で夜に蛍を見にいったり、花火を見に出歩きました。夜道で人とすれ違う時には「こんばんわ」って言うようにしていました。挨拶をすることで悪い事が起こらないそうですよ、今の時代に通用するかはわかりませんが・・。

 

夜の暗闇で挨拶を返してくれる相手はきっと敵意はないでしょう。きっと。

 


 

『病院はどこですか』

お仕事をするようになって2年目。

 

その日は家族が一人暮らしの家に泊まりに来ていました。

引っ越しをして1年になる小さな一人暮らし用の家は数軒並びの中部屋でした。リノベーションされた部屋は畳を剥がして綺麗にフローリングされ、カメラ付きインターフォンは最新式でした。週末には仲のいい職場の仲間が2~3人ほど泊まれるアットホームな場所でした。

 

 

「とんとんとん」

深夜2時の事でした。

襖越しに聞こえる玄関の扉を叩く音。

 

パッと目を覚まし襖を静かに開ける。

キッチンの窓、スリガラス越しにアパートの街灯で照らされた人影が見える。

 

「とんとんとん」

再び扉を叩く音。

襖を開けていたため明らかに我が家の扉を叩いている事がはっきりとわかった。

 

 

「とんとんとん」

 

 

『どちらさまですか?』

私は勇気を振り絞り声を出す。

 

「ごめんくださーい」

男性の声が返ってきた

 

私はインターホンをつける。

インターホンにはハーフヘルメットをかぶった70代くらいの老人が映っていた。

 

家族も起きだし

「なに?」と私に聞いてくる。

 

わからない。

 

『どうされましたか?』

このアパートに住んでいる誰でもない老人に話しかける。

 

「ごめんくださーい」

会話のキャッチボールができない。

 

 

寝起きの私は危険という思考よりも先にどうしたんだろうという心配から扉を開けてしまった。

 

『こんばんわ!どうされましたか』

チェーンをかけたままの扉を開けて老人と顔を合わせた。

 

「・・・病院はどこですか?」

 

『病院?どちらの病院ですか?』

 

「○○病院」

 

『それでしたらすぐそこです、暗くてわかりづらかったですか』

 

「あっちの方ですか」

 

『そうですね。あの信号を○つ行ったところを○○です。』

 

「あっちですね」

 

すると老人は原付バイクにまたがり走り去っていった。

 

「どうしたの?」

家族が怪訝そうに聞いてくる。

 

『ヘルメットを被ったおじいさんに道を聞かれた』

 

「それ絶対おかしい、おかしいよ!」

道を聞くにしても道路沿いの角部屋ではなく奥の中部屋を選ぶのはおかしい。

 

交番もこの近くにある。

 

家族の心配をよそに私はまだ老人の事が心配だった。

 

 

『わかった、警察に電話する前に私ちょっと様子見てくる!』

 

「はぁ!?」

 

『だって心配なんだもん!』

 

病院は徒歩でも十分に行ける場所だった。

 

なにより行きなれていた場所だ。

 

 

人気のない夜道は煌々と街灯で照らされていた。

 

残暑の生温い風が身体にまとわりついてくる。

 

病院の正面玄関を通り駐輪場を横目で見ながら診療時間外の出入り口に入る。

私が記憶している原付バイクが駐輪場に止まっている様子はない。

 

『こんばんわ!』

 

「あれ、ゼムゼムさんこんばんわこんな時間に」

 

『ちょっと気になる事がありまして!ついさっきお年寄りの男性がきませんでしたか?』

 

時間外の待合室には家族連れが2組、そこに先ほどの老人はいない。

 

「ずっとここに座っていましたけれど見ていませんね」

 

『そうですか・・ありがとうございます!』

 

足早に自宅に戻り家族は警察に電話をした。

 

サイレンを鳴らさず静かに来てくれた警察。事の経緯を話すと

 

 

怒られた。

 

 

当たり前のように怒られた。

 

 

「絶対に対応しないで下さい!」

「こんな時間に訪問してくる知らない人間は普通ではありません!」

「今後は絶対に警察に連絡してください!」

 

 

数年後、不思議な経験をしたアパートを引き払うまでに同じ出来事はありませんでした。

 

 

あの老人は無事に病院へたどり着けたのだろうか

 

無事に家族と会えたのだろうか

 


 

そうそう私は高齢者にはついつい声をかけてしまう性分みたいなんです。

社会人なりたての頃、雪の降る早朝に肌着だけの老人が外をフラフラ歩いていた事があって

あわてて車から降りて声をかけたことがありました。

 

「家に帰るんだ」と言われて「寒いから家族に迎えにきてもらいましょう、連絡しますので一先ず私の車に乗って下さい!」と車に乗ってもらった事もありましたね。

 

私の行動って結構危ないのかなぁ・・

 

『三夜:真夜中の訪問者』完

Comment
ぜむ🐳ぜむ
ぜむ🐳ぜむ
2019-09-10 21:39:23ID:146461

(>>嫁飯::さん)
・w・判断が難しい時代になりました!
無事に病院へたどり着いたと信じています!

嫁飯
嫁飯
2019-09-10 20:54:26ID:146453

本当なら、心配するのが当然だと私は思ってしまいますが、今の時代危険の方が多いから、こういうときって対応が何とも難しいですよね(泣
ましてや、お年寄り・・・
そして、大丈夫だったのか気になる

ぜむ🐳ぜむ
ぜむ🐳ぜむ
2019-09-10 20:45:27ID:146451

(>>サバトラ::さん)
;w;こわいぃいいいい!

サバトラ
サバトラ
2019-09-10 20:22:50ID:146446

>>ゼム🦈×🐳ゼム::さん
その信号で止まってる時もあるって言ってたし〜
うちの姉が信号でやらたぁー!

ぜむ🐳ぜむ
ぜむ🐳ぜむ
2019-09-10 19:14:21ID:146432

(>>サバトラ::さん)
・w・似たような経験私もしたことあります!笑
職場の人からその通りを通るときは危ないから車の鍵を閉めておけって!
赤信号で止まっていると乗り込んでくる場合もあるとか!
・w・サバトラさんも親切ぅううううう!

サバトラ
サバトラ
2019-09-10 14:26:30ID:146399

私は、見知らぬ老人が道沿いで、手を挙げていたので、
車止めて、どうしたのかと聞いたら、A町まで乗せて
欲しいって頼まれて、乗せてあげたら…
その途中でB町やC町に行って欲しいとか…
対応仕切れないので、B町でサヨナラしました。
後で聞いた話、その地域ではかなり有名な老人でした!
Σ( ̄。 ̄ノ)ノ

ぜむ🐳ぜむ
ぜむ🐳ぜむ
2019-09-07 01:34:06ID:145563

(>>7zoesan::さん)
・w・わからずじまいぃいいいい!
こわぃいいいい!

7zoesan
7zoesan
2019-09-06 22:42:08ID:145413

だ、だれなんだ〜〜〜〜!!気になる気になる気になる!!

ぜむ🐳ぜむ
ぜむ🐳ぜむ
2019-09-06 12:10:46ID:145104

(>>YUTO::さん)
・w・家族からは実はその方は亡くなっていて、待合室にいた人たちがその家族なんじゃないかと恐ろしい事を言っていました!(笑)幽霊は多分原付乗らないと思います!(笑)

ぜむ🐳ぜむ
ぜむ🐳ぜむ
2019-09-06 12:07:33ID:145102

(>>新井マクト 🦎🦎🦎::さん)
・w・危険な行動でした!(笑)
でもほっけないぃいいいい!(笑)

この記事を書いた人
・w・ゼムゼム(ぜむ🐳ぜむ)なのだ! 🐳nemlog基金の設立にほんのり携わっている人🐳 🐋nemlogイベント関係をサポートしたい人🐋 🐳特に意味もなく裏方でゴソゴソしている人🐳 🐋イラストや動画など制作が好きな人(上手いとは言っていない)🐋 nemlogやnemgraphを通じて沢山の素敵な出会いがあるといいなと思っています! 是非是非!お友達になって下さいませ! nemlogでこんなイベントしてみたい! こんな企画してみようと思うけれど手伝わない? 等ございましたら一緒に考えてみませんか!? ✨・w・ノ気軽にお声掛け下さいませ!✨