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尋常小学国史

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メルカリで古い歴史の教科書を見つけたので、購入してみました。

 

 

大日本帝国時代の皇国史観が云々、なんていう話をたまに聞きますが、実際にどんな歴史教育がされていたのか、教科書に何が書いてあったのかにとても興味がありまして。

また逆に戦後の自虐史観がどうのこうの、という問題を考えるにあたっても、自虐史観じゃない歴史書の実物を見るのがいちばん手っ取り早いです。

 

 

ということで教科書の実物を見てみましょう。

 

実物と言っても今回購入したのは「復刻版」なんですけどね。

 

 

昭和10年(1935年)に発行された教科書を、昭和45年(1970年)に復刻したものです。
満州事変が1931年、国連脱退が1934年、日中戦争の開始が1937年なので、「いよいよこれから本格的に戦争をやるぞー!」という時期の教科書ということになります。

オリジナルの定価は上巻15銭、下巻14銭。復刻版の定価は上下巻ともに200円。私がメルカリで買った中古価格は上下巻合わせて1,500円です。

 

 

では、そんな戦前の教科書には何が書いてあったのでしょうか。まずはざっくり目次をながめて見ましょう。

 

 

上巻

第一 天照大神
第二 神武天皇
第三 日本武命
第四 神功皇后
第五 仁徳天皇
第六 聖徳太子
第七 天智天皇と藤原鎌足
第八 天智天皇と藤原鎌足(つゞき)
第九 聖武天皇
第十 和気清麻呂
第十一 桓武天皇
第十二 最長と空海
第十三 菅原道真
第十四 藤原氏の専横
第十五 後三条天皇
第十六 源義家
第十七 平氏の勃興
第十八 平重盛
第十九 武家政治の起
第二十 後鳥羽上皇
第二十一 北条時宗
第二十二 後醍醐天皇
第二十三 楠木正成
第二十四 新田義貞
第二十五 北畠親房と楠木正行
第二十六 菊池武光
第二十七 足利氏の僭上
第二十八 足利氏の衰微
第二十九 北条氏康
第三十  上杉謙信と武田信玄
第三十一 毛利元就
第三十二 後奈良天皇

下巻

第三十三 織田信長
第三十四 豊臣秀吉
第三十五 豊臣秀吉(つゞき)
第三十六 徳川家康
第三十七 徳川家康(つゞき)
第三十八 徳川家光
第三十九 後光明天皇
第四十  徳川光圀
第四十一 大石良雄
第四十二 新井白石
第四十三 徳川吉宗
第四十四 松平定信
第四十五 本居宣長
第四十六 高山彦九郎と蒲生君平
第四十七 攘夷と開港
第四十八 攘夷と開港(つゞき)
第四十九 孝明天皇
第五十  武家政治の終
第五十一 明治天皇

  1. 明治維新
  2. 西南の役
  3. 憲法発布
  4. 明治二十七年戦役
  5. 条約改正
  6. 明治三十七年戦役
  7. 韓国併合
  8. 天皇の崩御

第五十二 大正天皇
第五十三 今上天皇の即位
第五十四 国民の覚悟

 

という内容になってます。

基本的に事件や事象よりも「人物」を軸にして歴史の流れが綴られています。
その人の生い立ちや人となりから始まって、徐々に業績を語っていく形で、たとえば

 

将軍吉宗は家康の曾孫で、紀伊家に生まれた。幼い時から人にすぐれて賢かつた。ある時、父が子供たちを膝下に呼寄せ、鍔箱を取出して、「さあ、どれでもよい、皆の好きな鍔を取らせるから、遠慮なく申してみよ。」といつたが、吉宗だけは、だまつてひかへてゐた。父は、これを見てふしぎに思ひ、「そなたは、なぜそのやうに遠慮するのか。」とたづねると、吉宗は、「私は、兄君たちのお取りになつた残を、箱のまゝいたゞきたうございます。」と答へた。すると、父はにつこり笑ひながら、「年にも似あはぬ大胆な子だ。」といつて、望み通り、残をそつくり箱のまま与へた。吉宗は、これを自分の部屋に持ちかへつて、全部お附の人々に分配したといふことである。

中略

吉宗が幕府に入つて将軍となつたのは、将軍家継が幼少でなくなり、世嗣がなかつたからであつた。その頃は、まだ元禄頃の風が残つてゐて、武士ははでな生活をして、武芸などをいつかうかへりみない有様であつた。吉宗は、たゞちに倹約の命令を出し、自分も木綿の着物を着、金銀をちりばめた城門などを、こはさせて、手本を示した。また、たび/\、鷹狩や水泳を行ひ、オランダ人を招いて、部下に馬術を授けさせなどして、大ひに武芸をはげました。これから、武士は非常に活潑になり、その気風もしぜんに改った。

 

なんていう形で、なかなかストーリーがあります。

一方われわれに馴染み深い「平安時代」「室町時代」みたいなくくり方が無く、また縄文土器や古墳、稲作、天平文化や南蛮貿易といった「事象」があんまり説明されないのも特徴ですね。

 

また人選にも当時の価値観が反映されてます。

大石良雄(忠臣蔵の大石内蔵助)なんかはあんまり歴史を動かした人物ではないと思いますが、主君の名誉のために命を賭けたその生き様を、当時の文部省は教えたかったんでしょうね。

基本的にアンチ幕府・天皇バンザイな価値観なのも特徴です。
高山彦九郎や蒲生君平といった、若干マイナーな尊王志士が取り上げられている一方で、新選組なんかは影も形もありません。
坂本龍馬もいませんね。

 

あとは近代以降の記述に関しては「19-20世紀の帝国は、こうやって戦争を始めていたのかー」と感じさせる臨場感があります。
たとえば日清戦争の開戦に至る経緯はこんな感じ。

 

清国は、その後もなほ、朝鮮を属国のやうに取扱ひ、ひそかに、自分の国にたよらうとするものを助けたので、その党はます/\勢を得て、政治はいよ/\乱れた。これが為、人民は苦しさのあまり、とう/\二十七年に至つて乱を起した。その勢がなか/\盛なので、清国は属国の難儀を救ふといつて出兵し、これをわが国に通知して来た。そこで、わが国もまた、公使館と居留民とを保護する為に兵を出し、なほ清国にすゝめて、互に力を合はせて朝鮮の悪い政治を改めようとはかつた。

ところが、清国はわがすゝめを聞入れないばかりか、かへつて陸海の大兵を朝鮮に送り、その年の七月には、豊島沖でわが軍艦を砲撃して、戦をしかけて来た。わが軍艦は、たゞちに応戦してこれをうち破り、ついで陸軍もまた、清兵と成歓に戦つて大勝した。

 

わが日本も、こんなアメリカみたいなこと言ってた頃があったんですね(笑)

 

当時はテレビもSNSも無くて、得られる情報も限られていたでしょうから、こう教えられたのを信じて、戦争を正義と思い込むのも無理はないかと思います。

そして実際にそう思い込んで、その通りの誇り高い行動をした軍人さんもいっぱいいたんだと思います。

 

 

 

現代の教育と比較しての感想

まずは読み物として素直に面白くて、引き込まれます。
やはり人物を軸として、その人柄や主義などを深堀りしているところが良いですね。ストーリーがあって、今の感覚でいうと国語の教科書を読んでいる感覚に近いかもしれません。

これと比べると現在の教科書は語句の羅列に終始していて、退屈。熱が感じられず、ダイナミックさが無いです。

たとえば聖徳太子なんかは「遣隋使を派遣して『日出づる国の天子・・・』という国書を届けさせた」なんて感じで覚え込まされますが、その背景とか意義とかはいまいちピンと来ないじゃないですか。

尋常小学国史にはこう書いてあります。

 

太子は、また使を支那にやつて、外国とのつきあひをおはじめになつた。その頃、支那は国の勢が強く、学問なども非常に進んでゐたから、日頃高ぶつて、他の国々を皆属国のやうに取りあつかつてゐた。けれども、太子は少しもその勢にお恐れになることなく、かの国に送られた国書にも、「日出づる処の天子、書を日没する処の天子にいたす、恙なきか。」とお書きになつて、どこまでも対等のつきあひをなさつた。支那の国主は、これを見て腹を立てたが、ほどなく使をわが国に送つてきた。そこで、太子も、あらためて留学生をおつかはしになつた。その後、引きつゞいて互にゆききをするやうになつたから、これまで朝鮮を通つてわが国に渡つて来た学問などは、これからは、すぐ支那から傳はることになつた。

 

こう書いてあると、「日出づる処の天子」によって中国と対等な外交関係を築き、それによって当時の最先端の科学や文化を取り入れて国力を向上させることに成功した、太子の功績の大きさが良く分かるってもんです。

他にも、たとえば新井白石なんて、我々ゆとり世代は「文治主義制作をやった朱子学者」みたいな分かったような分からないような簡単な説明とセットで覚えていますが、やっぱりそこに血肉の通ったストーリーがなければ、テストの材料以上の財産にはなり得ないと思うんですよね。

なんか昔の教科書のほうが、ストーリーを語ることのできる人材が育ちそうだと思います。

 

あとは取り上げられている題材については一長一短あると思いますが、やはり天照大神、神武天皇、日本武命、神功皇后、仁徳天皇くらいは現代の教科書にも載せるべきだと思います。

 


この日本という国がどのようにして始まったのか、その根本を知らなきゃ、これからどこに向かうべきかなんて考えようがないと思うのです。

まあ史実というより創作くさいという面も多分にありますが、でも歴史っていうのはそういうものですからね。
アメリカなんかとは違って日本は古い国ですから、さかのぼっていけば神話なのか現実なのかはっきりしないところに行き着くものなのです。中国とかエチオピアとかもそう。

教科書に書いてあることが100%正しいわけじゃなくて、いまのところ歴史にはこういう限界があるということを知るのも大事だと思います。
実在性で言ったら卑弥呼なんかも似たようなものですしね。

 

われわれが生きている現代につながっているのは卑弥呼なんかよりも神武天皇や神功皇后ですから、やはりそれらを知らずにいるのは問題だと思います。

神武天皇を知らない人間が天下国家を論じちゃいけません。

 

 

 

 

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Comments from NEMber
珈琲ねむりや
2019-08-19 23:02:24ID:140596

>>BleRoom::さん
今回のは実にいい買い物でした!
最近メルカリとジモティーの使い方を覚えたので、家にちょっとずつ掘り出し物があります。そのうち記事書きたいですね。

BleRoom
2019-08-19 22:27:08ID:140573

これマニアならすごく貴重な読み物ですよね。1500円…お得すぎます…。以前のお家にしても、ねむりやさんって買い物上手ですよね。

戦前の日本、現代とは違う雰囲気で、こういうものが当時の人々の情報や思想の源だったと思うと…なんかワクワクしちゃいますね。(語彙力なし)

珈琲ねむりや
2019-08-19 20:48:58ID:140534

>>やそ::さん
ノーベル書房は国語とか修身の復刻教科書も出してたっぽいですね。

社員だった人のブログを見つけたんですが、
http://eigato-jinsei.cocolog-nifty.com/blog/cat32172307/index.html
企画した本人に熱意があったのかは分かりませんが、小さな出版社にとってはけっこう良い売上げが見込める企画だったのかもしれません。

物珍しさを差し引いても、グイグイ読み進めたくなる、良い本だと思うので、ぜひ古本屋とかで探してみて下さい!

やそ
2019-08-19 19:40:59ID:140526

当時復刻版を出した人はどうした想いで復刻版を刊行したのでしょうね。
今の戦後の教科書は変わってしまった。昔はこんなのだった。
的な感じだったのでしょうか。

実際に読んでみたいです!

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