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【数学】何に近づいていくでショウ!(後編)

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前回の記事で、「数字が一定の規則で変化していくとき、最終的に何という数字に近づいていくか
という問題を考えました。

その中で、ネイピア数と呼ばれる数字 e = 2.7182818284... をご紹介しました。

ネイピア数が持つ一つの性質として、

1 = 1

1 + 1/1! = 2

1 + 1/1! + 1/2! = 2.5

1 + 1/1! + 1/2! + 1/3! = 2.666666...

1 + 1/1!+ 1/2! + 1/3! + 1/4! = 2.708333...


というような数字の変化を考えると、ネイピア数 2.7182818284...にどんどん近づいていくことも紹介しました。
「!」という記号が使われていますが、2!=2×1=2, 3!=3×2×1=6,  4!=4×3×2×1=24 という意味でしたね。


この事実を、次のような数式で表しました:




今回はこの式について、もうちょっと考えてみます。

(注意:なお、今回もコンピュータに計算を頼っている箇所が多々あります。
コンピュータによる計算の性質上、小数の細かい数値が正確でない可能性もございますので、ご了承を^^;)


ネイピア数 e が持ち味を発揮するのは、その 2乗3乗4乗といった数字を考えたときです。 

e = 2.7182818284...

なので、例えばその2乗は、

e^2 = e×e = 2.7182818284...× 2.7182818284...= 7.3890560989...


と計算されます。

ネイピア数がステキなのは、それを2乗、3乗としても、




と似た式が成り立つというところです。どういうことか。

さきほどは、


1

1 + 1/1!

1 + 1/1! + 1/2!

1 + 1/1! + 1/2! + 1/3!


1 + 1/1! + 1/2! + 1/3! + 1/4!

という数字の変化を考えましたが、赤い部分をちょこっと変えて、


1

1 + 2/1!

1 + 2/1! + 2^2/2!

1 + 2/1! + 2^2/2! + 2^3/3!

1 + 2/1! + 2^2/2! + 2^3/3! + 2^4/4!

という変化を考えてみましょう。各分数の分子が、1 から 2, 2^2, 2^3, 2^4, ... に変わりました。


これくらいの計算、コンピュータにかかればイチコロです:


1 = 1

1 + 2/1! = 3

1 + 2/1! + 2^2/2! = 5

1 + 2/1! + 2^2/2! + 2^3/3! = 6.333333...

1 + 2/1! + 2^2/2! + 2^3/3! + 2^4/4! = 7

となります。さらに続けると

 

 

 

 

となります。e^2 = 7.3890560989... だったことを思い出しましょう。
この数字の変化を繰り返すと、e^2 に限りなく近づいていくんです。

「e に近づいていく数字の変化」と、「e^2 に近づいていく数字の変化」を比較してみましょう:





↑右図では、分子を、2, 2^2, 2^3, 2^4, ... に変えましたが、次は3, 3^2, 3^3, 3^4, ... に変えてみましょう。
つまり、


1

1 + 3/1!

1 + 3/1! + 3^2/2!

1 + 3/1! + 3^2/2! + 3^3/3!


という変化を考えます。2 を 3 に変えただけ。さぁ、やっちまえ!コンピュータ!


1 = 1

1 + 3/1! = 4

1 + 3/1! + 3^2/2! = 8.5

1 + 3/1! + 3^2/2! + 3^3/3! = 13


となります。更に計算を続けると、

 




となって、e^3 =20.0855369232... に限りなく近づいていきます。

「e^2 に近づいていく数字の変化」と、「e^3 に近づいていく数字の変化」を比較してみましょう:




上図の2, 3 の部分を 4 に変えると、e^4 に近づいていきますし、5に変えれば e^5 に近づいていきます。
一般に、n という数字に変えると、e^n に限りなく近づいていきます:


 



マイナス乗



では、n に他の数字を入れてみるとどうでしょうか。例えば、n にマイナスの数字を入れても、
同じ性質は成り立つのでしょうか。


数学の世界ですと、e の `2乗', `3乗'と言ったら、

e^2 = e × e

e^3 = e × e × e


という意味になりますが、実は `マイナスの数字' 乗を考えることもできます。
つまり、e の `-1乗'、`-2乗' というのも考えることができて、これらは、


e^{-1} = 1 ÷ e = 0.36787944117...

e^{-2} = 1 ÷ e ÷ e = 0.13533528323...


という意味になります。`e の2乗' が 「e を2回掛け算しなさい」という意味だったのに対し、
`e の -2乗' は「(1を) e で2回割り算しなさい」という意味になるわけですな。


さきほどの「e^2, e^3に近づいていく数字の変化」で、 2, 3 としていた部分を -1 に変えると、


1 = 1

1 + (-1)/1! = 0

1 + (-1)/1! + (-1)^2/2! = 0.5

1 + (-1)/1! + (-1)^2/2! + (-1)^3/3! = 0.16666....

となって、さらに計算を続けると、




となり、e^{-1} = 0.36787944117... に近づいていきます。

`マイナスの数字乗' を考えても、`2乗', `3乗'を考えたときと同じような eの性質が成り立つんです:




 

虚数乗



2乗、とか 3乗とかは意味が分かります。-1 乗、-2 乗の意味も上でご紹介した通りです。


では、`虚数乗' というのは定義できるでしょうか?


虚数については、前々回の記事でご紹介しました。

「2乗すると -1 になる数字」 i を導入して、これを虚数単位と呼び、i を含む数字のことを虚数と
呼びました。


i は、1,2,3 とか、-1,-2,-3, などとは全く異なる新しい数字なので、`虚数乗'というのは
意味がわからないですね。

そこで、次のように考えてみます:


1 = 1

1 + 2/1! = 3

1 + 2/1! + 2^2/2! = 5

1 + 2/1! + 2^2/2! + 2^3/3! = 6.333333...


と、数字の変化を繰り返していくと、e の 2乗に近づいていきました。


1 = 1

1 + 3/1! = 4

1 + 3/1! + 3^2/2! = 8.5

1 + 3/1! + 3^2/2! + 3^3/3! = 13


と、数字の変化を繰り返していくと、e の 3乗に近づいていきました。


それなら、2, 3 の部分を i に変えて、


1

1 + i/1!

1 + i/1! + i^2/2!

1 + i/1! + i^2/2! + i^3/3!


として、何か`近づいていく数字' があるのなら、その数字のことを `e の i 乗' と呼ぶことにしてしまえば
良いのではないでしょうか。ちょっと、これらを計算してみましょう。

i の2乗、3乗、4乗、5乗、... は 

i^2 = -1 、i^3 = -i ,  i^4= 1 , i^5 = i,  i^6=-1, i^7=-i,  i^8=1,  i^9 = i

と、-1-i1 i-1-i1i  というサイクルを繰り返します。
そんなことを頭で思い浮かべながらコンピュータで計算すると。。





となります。この数字の変化を繰り返すと、0.5403023058681... + i × 0.8414709848078...  
という数字に近づいていきます。

なので、`e の i 乗' というのは、0.5403023058681... + i × 0.8414709848078...という数字と
定義されます。


上の赤い部分(i) を他の虚数に変更しても、必ず何か近づいていく数字があります。
その数字を、e の虚数乗の定義としてしまうんですね。例えば赤い部分を 2i に変えると、
次のように数字が変化していきます:


なので、e^{2i}= -0.4161468... + i × 0.9092974... と定義されるんです。 


数学て、`虚数乗'のように、もともとの意味を考えるとよくわからないものでも、
その定義を自然に拡張できる場合は、拡張してしまうことがよくあります。



(注意:↑少し曖昧な書き方をしました。詳細は述べませんが、この定義が妥当であることは、
解析学の理論によって保証されます。)


ただ、
(e の i 乗) = 0.5403023... + i × 0.8414709...
とか
(e の 2i 乗) = -0.4161468... + i × 0.9092974...

は、複雑な数字ですね。定義はできたといっても、出てくる数字(0.5403023...)
がよくわかりません。

なのですが、円周率 π を使って、(e の πi 乗)というのを考えると、キレイな数式が誕生します。



博士の愛した数式

 



小川洋子さんの小説で、『博士の愛した数式』というタイトルのものがあります。

交通事故に遭い、80分しか記憶が持続しなくなってしまった元数学者の「博士」と、そんな博士の家政婦を
することになった「私」、そして「「私」の息子」の物語です。映画化もされました。

最初は博士とのコミュニケーションに四苦八苦する「私」ですが、
一つ一つの数字が持っている特別な性質の話を通じて、徐々に打ち解けていきます。

そんなお話の中で、『オイラーの等式』と呼ばれる等式が登場します:



(※作中では「オイラーの公式」と呼ばれていました。)

博士が紙に記したこの等式の意味を、「私」は懸命に考えます。



せっかくですから、この式の意味を理解してみましょう。

といっても、難しそうなのは e^{πi} ていう部分ですよね。



この記号がどういう意味なのか。一つ一つ整理してみましょう。


まず、e という数字は 2.7182818284...と、小数点以下が無限に続いていくネイピア数と呼ばれる数字でした。


π= 3.1415926535... は、おなじみ円周率です。


i は、2乗すると -1 になる不思議な数字で、虚数単位と呼ばれました。


e^{πi}は、eという数字を `πi 乗する’、という意味ですが、πi 乗てどういう意味?
となるわけですね。

でも、それについては上でご紹介しました。つまり、


1

1 + πi/1!

1 + πi/1! + (πi)^2/2!

1 + πi/1! + (πi)^2/2! + (πi)^3/3!

1 + πi/1! + (πi)^2/2! + (πi)^3/3! + (πi)^4/4!

という数字の変化を考えて、限りなく近づいていく数字、それがe^{πi}の意味です。


とても大変な計算ですが、やっぱりコンピュータを使って計算してみましょう。



 

となります。さらにこの変化を続けると、



こんな感じで、iの係数(青下線を引いた部分)がどんどんに近づき、
赤線を引いた部分-1 という数字に近づいていることがわかります。

てことで、この変化を繰り返すと、-1 にどんどん近づいていくんですね。

e^{πi}とは、`この変化で限りなく近づいていく数字' と定義されておりましたので、




という等式が成立します。



(e の i 乗) = 0.5403023058681... + i × 0.8414709848078...

だったのに対し、

(e の πi 乗)
= -1

と、円周率πが入り込んだ途端に、とてもシンプルな式になってしまうんですね。
(e の i 乗)(e の πi 乗) を比較すると以下のような感じ:







という式の右辺の -1 を左辺に移項すると、


という等式になります。これが最初にお話したオイラーの等式と呼ばれるものです。


ネイピア数円周率虚数単位という数学の重要な5大定数(僕が勝手に決定)が、
一つの等式でキレイに結ばれてしまうんです。

 

ネイピア数を紹介したとき、円の話など一切出てきませんでした。
虚数単位を紹介したときも、円の話、ネイピア数の話なんて、全くしませんでした。

一見、何の関係もなさそうな数字 e, π, i たちが、三つ集まるとキレイな等式になってしまう。

そんなことから、数学界では、「最も美しい定理」と評されることがあります。




e^{πi} を計算するための、Python のコードを載せておきます。
そのままコピペすると、インデントのところでエラーを起こす可能性があるのでご注意を:


e^{πi}の計算をするためのコード(Python)import math
sum=0
for k in range(0,11):
 sum+=(1j*math.pi)**k/math.factorial(k)
print(sum)


1+(πi)/1!+(πi)^2/2!+...+(πi)^{10}/10! を計算するコードです。

Python だと、`j' で、虚数単位 i を表します。j を使う際には、係数が必要で、「1」という係数を略さず、
`1j' と書きます。`math.pi' が円周率で、(1j*math.pi)**k が (πi)^k を表します。
前回も出てきた `math.factorial(k)' は、 k の階乗 「k!」という意味でした。


これを実行すると、(-1.0018291040136216+0.006925270707505149j) と表示されます。






数字が次から次へと変化していくとき、「最終的に何に近づいていくか」を考えると、
意外な数字に近づいていったり、新しい数字や公式が生まれることがあります。
今回はそんなお話でした。

本記事に出てきた 1 → 2 → 2.5 → 2.666.... →・・・ のような数字の列のことを

数列(すうれつ)と呼び、1 + 1/1! + 1/2! + 1/3! + 1/4! + ・・・ ように、
数字を無限に足し算していくことを級数(きゅうすう)と呼びます。


この記事で紹介した以外にも、まだまだおもしろい数列、級数がたくさんあります。
数字の列を見かけた際は、「最終的にどんな数字になるんだろう」と思いをめぐらせてみてください。


ということで、今日はここまで!


あぺんでぃくす

 



三角関数(sin, cos) を習ったことがある方に向けて。実は、次のような関係式が成り立ちます:



これをオイラーの公式と呼びます。

この式の x に円周率 π を代入すると、 cos (π) = -1, sin (π) = 0 なので、オイラーの等式



が出てきます。x に 1 を代入すると、cos(1)=0.5403023058681... , sin(1)=0.8414709848078... なので、



と出てきます。虚数単位 i が、「指数関数」と「三角関数」を繋いでしまうのです。。




Back Number (昔の記事へのコメント大歓迎です)

 

 

 

 





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Comments from NEMber
やってみよう
2019-11-14 17:43:38ID:159273

>>サバトラ::さん

おぉ、それは良かったです!
おめでとうございます!

サバトラ
2019-11-14 17:39:22ID:159272

>>やってみよう::さん
ありがとうございます!
試験合格しましたよー✌︎('ω')✌︎

やってみよう
2019-11-14 17:26:07ID:159271

>>サバトラ::さん

e, π, i などの記号が出てきて、その上、
一つ一つの記号の性質を活用したりするので、
なかなか整理が難しいですよね。
それでも読んでいただけてありがたいです。自分も集中力が続かなくて、
作業中に twitter や nemlog を覗いてしまうことが結構ありますw
試験で良い結果が出ると良いですね!

サバトラ
2019-11-14 15:37:35ID:159270

記号と数字で、頭こんがらがって難しい〜(^◇^;)
記号に当てはめると頭の中整理できない〜
もっと集中する時間がほしいです。
私の場合、人の何倍もいるからそこが難点(≧∇≦)
若い時は、その時間がたっぷりあったのにね。後悔。
この間も仕事関係で、試験勉強したんだけど、
集中力の衰え実感しました。(-。-;が、頭もこうして
使ってないといけないことにも実感しました。
いつも刺激を頂いてます٩( 'ω' )و

やってみよう
2019-11-10 18:50:50ID:158579

>>YUTO::さん

ありがとうございます!こうやって定義すると、
虚数単位が入ってても、指数法則は成り立って、微分なども、実数乗と同じように
扱えてしまうんですよね。とても便利で、ついつい定義を忘れちゃいますよね。

>>ぺぺ α::さん

戻りながら読んでいただけるのは、本当に嬉しいです。
ありがとうございます!数学は基礎の積み重ねで成り立っているので、
基本は大事だと思います。

YUTO
2019-11-10 16:19:54ID:158561

ネイピア数がこんな不思議な性質があるのは感動ものです!!
ネイピア数は数学や物理の世界ではよく登場しますけど、定義を意識しないまま使うので、ここで定義について考えると、そういえばという感じになって、つい最後まで読んでしまいます!!

ぺぺ α
2019-11-10 14:07:46ID:158544

難しいと考えたら、戻るようにします。
以前よりは分かるようになった感じです。
やっぱり基本からですね😎

NEMber who posted this article

「やってみよう」は、プログラマであるタノウエと、数学を勉強しているカナクボが、共同で管理しているアカウントです。
勉強をして身に付けた NEM の知識や数学の話題を、随時投稿していく予定です。
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