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「世界は美しくて不思議に満ちている」

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理学博士で人類、生物学者である長谷川眞理子の著書、「世界は美しくて不思議に満ちている」のご紹介です。

長谷川先生はヒトを含む動物の行動と生態を野外で研究してきたなかで、70億人に達したヒトという生態の繁殖スピードは生態学的にみてとても異常であるといいます。

 

平均的な狩猟採集民の食性と体重から人口密度を計算すると一平方キロに1.2人ぐらいがヒトの人口密度における適正となりますが、現在の地球上では平均して1平方キロに44人が住んでおり、これは化石燃料と原子力によるエネルギーをヒトが湯水の如く使うことによって成立してます。

 

当然ながらそのような生活を続けていれば、現在の社会システムは終わりを迎えることをなります。

 

本書はヒトや生物の進化の歴史を辿りながら、人類文明の向かう先、現代社会の抱えている問題の本質に迫る一方で、ヒトが生物としてこの社会を持続するために果たす役割りについて述べてられています。

今日は本書から、「生態学から考える持続可能な社会」についてまとめ、今に生きる私たち一人一人が問題とどのようにして向き合い、行動できるのかについて考えていきたいと思います。

 

生態学から考える持続可能な社会

 

地球上には学名のつけられている種の総数は180万ほどですが、本当に何種の生物がいるのかは誰も知りません。

そして地球上のどんな場所をとっても、多様な種が相互作用しながら存在しています。

これらの相互作用には競争関係、共生関係、捕食・被食関係、寄生者・宿主関係などがあり、また、同じ種に属する個体どうしの間にも、競争関係や相互扶助関係があります。

 

これら全体の相互作用の結果、地球上のさまざまな地域に、現在見られるような生物群集が生息してその個体数を維持しています。このようなエコシステムは、太陽のエネルギーや水や炭素の循環などの物理的環境と生物との相互作用と、生物どうしの相互作用の総体として成り立っています。

 

すべてのことがあらかじめ目的を持ってインプットされた指令に基づいて成立するのではないという意味で生物や生物群集、エコシステムは複雑適応系と言われています。これは細胞や個体、個体群、種どうしが、ある単純な法則のもとで相互作用することで生じる創発的性質と遺伝的変異による適応である自然淘汰という2つの異なるプロセスが働いて適応していくためです。

 

ヒトはおよそ20万年前に現れ、狩猟採集を生業として暮らし、生態系の一員として複雑適応系の中に組み込まれて生きてきましたが、およそ1万年前に農耕と牧畜が発明されて、定住生活がはじまりました。

こうして人間が大規模に自然を改変するようになった以後の1万年に、都市が生じ、工業化が起こり、化石燃料を燃やすことによる新たなエネルギー源が使われるようになったのです。

 

こうした変化の中から新たに生まれた問題が「環境問題」であり、最初は公害による健康被害が認識され、次に乱獲による動物や植物の絶滅という問題が認識されるようになりました。

さらに、二酸化炭素の排出による地球温暖化と気候変動や、生物多様性の減少の問題などが認識されるようになりますが、これらの問題は複雑適応系の動向に関する問題であり、自然界で使われることのなかった化石燃料のエネルギーが複雑適応系の生態に及ぼす影響や多種多様な生物の相互作用で成り立つエコシステムにもたらす影響は単純ではありません。

 

こうした大きな問題の認識によって「持続可能性」という概念が生まれ、より広く、この複雑適応系を崩壊させずに、なるべく現在の豊かさを保ったまま次世代に受け渡していくためにはどうすればいいのかという、より広い視点での環境問題の捉え方が生まれます。

 

ここでいう持続可能性は地球生態系の持続可能性ではなく、人間という生物が心地よく生きていけるような環境の持続可能性のことになります。

そしてこのような環境は残念ながら永遠に続くものではありませんが、こうした環境を次世代に受け渡して、それを続けていくことがヒトという生物を絶滅から救うべく課された、私たちの使命であるとも言えます。

 

持続可能性のキーワードの1つは生物多様性の保全であるという認識が広まりつつありますが、歴史や動物化石を見る限り、私たちヒトが20万年の時を経て地球各地に広がると同時に絶滅した動物の数知れず、どうやら私たちの祖先は自然環境と調和して生きてきたわけではないことがわかっています。

それでも生態系に今ほど大きなダメージを与えなかったのは、文明が始まる以前の生活の基本は狩猟採集であり、食物の保存方法も乏しかったために、早く食べなければ腐るだけなので、食べる分だけの捕獲で済んでいたことと、非定住生活であったために、移動を容易にするために持ち物は最低限であり、所有物には限りがあったためと考えることができます。

 

しかしながら、定住生活を手に入れ、蓄積した資源の量によって、他者を支配する手段を得たことによって所有すること、溜め込むことは「権力」であり、そして自分の子孫を繁栄させ、一族を守る手段にもなりました。

こうして必要なもの以上の蓄財が始まり、自然環境へのインパクトも大きなものとなっていったのです。

 

「次世代のための環境の持続可能性」も「次世代のための蓄財」も将来世代の利益という面では同様であり、ここで問題なのは「地球環境を保全する」ことや「持続可能な」状態を維持することが、どのようにして将来世代のためになるのか、そのことに対して個人が行うどんな行動が自分の子孫の利益になるのか、その因果関係やフィードバックループが明確ではなく、イメージしづらいことにあります。

 

ヒトを理解して今できることを考える

 

著者が指摘しているように、問題は複雑であり、「持続可能性」という言葉自体は理解できるものの、実際に私たち生活は移動に車を使い、電気を垂れ流し、多くの物や食物に囲まれ、その「普通」の生活が生態系に与える影響について考えることはほとんどありません。

家の中に住み着く虫や毎年のように私の血を吸いかゆみを残していくやっかいな蚊なんていなくなってしまえばいいとさえ思っています。

 

最近でこそ「エコ」という言葉自体の流行により認知されていますが、真の意味での「エコ」について理解して、問題意識を持っているヒトはどれぐらいいるでしょうか?

 

私は理学療法という仕事を通じて、ヒトの身体とは、健康とはという入口を開け、そこから人間とは、ヒトとは何か、その根本原理を知るために生物学や生態学、進化生物学などを学び始めました。

そうすると不思議なことに身体と自然や食物と健康など今まで点だったものが繋がりを持って理解できるようになり、さらにそこから社会や政治、哲学と幅広い知識や教養とも繋がりを持つことにも気づくことになったのです。

 

著者が指摘しているように「生物」を学ぶことはヒトを理解することであり、それはいまの社会や歴史を理解することにも繋がっていくのです。

 

生物や生態系を研究し、理解していくことは「複雑適応系、エコシステム」の複雑に絡み合った糸をほどいていくことであり、理解しやすいストーリーとロジックができればヒトは共感し、行動や態度に変化をもたらします。

 

ここに著者の言葉を引用します。

 

ヒトは言語や数字などの記号を駆使し、抽象的思考でものごとの因果関係を解明し、それらの内容を互いに共有し、みんなで協力して知識や技術を改良していくことができる。

この「協力」、「共感」というものがいかにヒト固有であるのか、他のどんな動物にも見られないほど高度な社会性こそが、私たちヒトの最大の特徴であり、強みであるということを強調したい。(中略)

論理的に思考し、他者に共感し、みんなで協力しあう能力を持っているのが私たちヒトなのだ。

問題の大きさに気づけば、意識して目標を立て、それに向かって実行することを始め、いずれ、何らかのよい方向に収束することができるかもしれない。問題は、私たちのそのような合意が、科学技術の変化の速度に追いつけるかどうかなのではないかと私は思っている。

 

食品の大量廃棄やショッピングバッグ、電気自動車、エコ燃料、ミニマリスト、私たちの生活の中には「エコシステム」や「生態系」について考えるヒントやキーワードがたくさん詰まっています。

それらについて一人ひとりが考え、そして、私たちの政治の代表者が無視できなくぐらいに、共感の波を起こしてみんなで声を上げていくこと、まだまだ私たちができること、やっていないことがたくさんあると本書を読んで思いました。

 

「世界は美しくて、不思議に満ちている」

 

著者は幼少の頃の田舎で過ごした記憶と生物を研究するのにあたり、アフリカやガラパゴス諸島はじめ地球をめぐってきた印象からこの言葉を発しました。

nemgraphを見ていていると身近な自然も人も動物も本当に美しいと感じることができます。

この美しさを次世代にも遺していくこと、自分の子や孫、ひ孫にも同様の感動を味あわせてあげること。

そのためにいま私たちが何を考え、どう行動しなければいけないのか。

今、一人一人が問いかけられているのではないでしょうか。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

紹介図書

長谷川 眞理子 著「世界は美しくて不思議に満ちている 「共感」から考えるヒトの進化」

 

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Comments from NEMber
7zoesan
2019-11-06 12:51:20ID:157907

>>ちくぽか::さん
あー!ご指摘ありがとうございます!後でチェックと思ってすっかり抜けてました!

ちくぽか
2019-11-05 22:33:19ID:157795

>>7zoesan::さん
逆になんか褒められてしまった。。ありがとう。
ところで、ソラネコさんのイベント参加記事チェック抜けてないですか?
ひょっとして気づいてないかなって書き込もうとして忘れてた。

7zoesan
2019-11-05 21:35:26ID:157784

>>ちくぽか::さん
投げNEM並びにいつも読んでくださりありがとうございます!また、嬉しいお言葉まで。
ちくぽかさんのように自然とともに自然の中で生きていると生態系とか生物とか難しい言葉じゃなくてもっと色々と実感として言えるのでしょうね。
ちくぽかさんの文章からはそれが伝わるし、人なりや優しさが出ています。
そんな文章が好きです。

ちくぽか
2019-11-05 20:53:50ID:157781

このチョイス!そして7zoesanの編集力に脱帽です。
途中まで書き掛けのデタラメな記事を書き直そうと思いましたw
タイトルだけで泣ける!!

NEMber who posted this article

北海道で理学療法士兼スポーツトレーナーとして活動しています。
これまでの臨床経験から得た気づきや学びに関すること、
日々の読書の備忘録など、徒然なるままに健康と幸福と自身の人生観についてアウトプットしていきたいと思います。
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